バケツを交換して、バスタオルで拭いて、館内の雨漏り総数をチェックして事務所に戻る。

事務所に戻ると、サクラと支配人の困り顔が二つ並んでいた。


「どーするんですかー?さすがに礼服なんで乾燥機はダメですよー」


「え、ダメかな?ダメなの?」


まさかの考えなしでのお預かりだった。


「ダメだと思いますよ」


「え、ユイちゃんもダメだと思う?」


「はい」


「本当に?」


「はい」


「どうしても?」


しつこいな。おい。


「仮に乾いたとしても、型崩れやらなんやらしても知りませんよ。見た感じ結構お高そうですし・・・。支配人だってスーツ洗濯機や乾燥機に放り込まないですよね?」


「そっか。じゃぁ、ダメなのか」


ガチでバカだった。


「どうするんです?明日の朝にお渡しするって言ってしまったんですよね?」


呆れ顔のサクラ


「うーん。サクラとユイちゃんでどうにかなんない?」


他力本願きたわー。


「うーん・・・。雨染みができない事を祈りつつ、ドライヤーとアイロンでどうにかするしかないですかね。さすがに洗う術はないので、我々にできるのは乾かして整える事だけですかねぇ」


「それでいいよ!大丈夫だよ!!」


また根拠のない大丈夫を言い切ったぞ。この支配人。


「それじゃ、サクラとの引き継ぎ終わったら取り掛かります。サクラは明日もあるんだし帰らないと(すでに残業中)」


「ユイさん一人に押し付けちゃって大丈夫ですか?なんかすみません」


いや、サクラが謝る事じゃないし!!残業してる時点でかわいそうだし!!とは思いつつ支配人の前なので黙ってる。


「ってか、大将は?来てないの??」


「え、ユイさん来るちょっと前に出勤して来て、バケツとか持ってどっか行ったんですけど、館内見回ってて会いませんでした?」


「会ってませんね・・・。あれ・・・?まぁ、大将行方不明になるのはいつものことだし、先に引き継ぎしちゃおう」


そう言ってフロント業務を始める事にする。


「じゃー、俺探してくるよ。俺も帰りたいしー」


帰るって言って飲みに行くのはわかりきってますが、スルーしておく。



そして引き継ぎしてたら響く怒鳴り声。

ちょっとー・・・もう夜遅いんで怒鳴るのは勘弁してくださいよ。

慌てて駆けつけた先は1階にある女子トイレ。

あー・・・そう言えば1階の見回りはしてなかったもんね。


雨漏りバケツのそばに佇む大将IN女子トイレ


私が来てからずっとここにいたの?とか思いつつ、夜中ですから抑えて抑えてと支配人を注意する


もうこの職場やだ。

今日何度となく思ったのは仕方ないと思うの。


支配人が何にキレてるかも知りたくもないし、なんで大将が女子トイレにずっといたのかも知りたくもない。


いいからもう、皆帰れよ。

私は礼服乾かさなきゃいけないんだよ。

これ以上、仕事増やすのだけはやめてくれ。


もう大丈夫だからと言いくるめて、(邪魔な)支配人を帰し、乾かすのだけは手伝いますと言うサクラと礼服をドライヤーで乾かし終わった時にはすでに早朝4時近かった。

流石にもう帰りなよって言って、サクラを帰したところで気が付く。

大将がいない。


いやいや・・・。まだ本来の業務ほとんど終わってないんだけど?

朝食の支度だって今日は手伝ってもらわないと無理だよ?

こっから礼服にアイロンもかけないといけないんだし?

定期的に各階のバケツの様子見ないといけないし、どこいったの??

掃除してんの??何してんの??


この時点でユイさんだいぶイライラ。


そして大将の姿を1階女子トイレで見つけた時の感情は文字にはできないのは仕方ないと思うの


一歩間違えれば変態ですよ?

どれだけ女子トイレが好きなのですか?



もうこの職場やだ。



この一言である。