現在の医療制度改革の方向性を考えると、今後は病院にも経営の公開性が求められるようになるでしょう。

そうした病院経営の近未来像を考えたとき、このような姿勢では生き残れなくなっていきます。
実際、親族の過剰な干渉によって、無駄な経費が生じたり、優秀なスタッフが去ったりして、経営が傾く病院が存在します。

病院の私物化を防ぐ意味でも、病院の事業価値向上に貢献しない親族は、経営の意思決定からシャットアウトすべきです。
理事長の親族が病院経営に首を突つ込む。
有名な歴史上の話でも、為政者の親族が政治に口出しして、国が傾きかけたという事例は多々あります。

また、現代社会でも、オーナー経営者の親族が経営に首を突っ込みすぎて、会社が回らなくなったという話はよく聞きます。

病院経営も同じです。

実際には経営に参加していないのに、医療法人の理事になっているだけで、高額の役員報酬をもらっていたり、また、報酬を受け取るだけでなく、スタッフの人事に関しても「好み」を要求したり、思いつきで診療科の新設を「進言」したり、親族の横暴によって、経営危機に追い込まれる病院が少なからずあるのです。
悪徳病院は、理事長と事務長が共謀し、建築会社に法外な見積書を作らせ、裏で数千万円の賄賂を受け取っていたのです。

この建築会社に脱税容疑で査察が入り、この操作が判明しました。
ところが、理事長と事務長の犯罪行為はまだありました。

なんと、愛人を役員として、実体のないメディカルサポート法人を作り、そこにも資金を流していたのです。

結局、2人は刑事告発を受けただけでなく、銀行からも、病院職員からも、そして配偶者からも、損害賠償や慰謝料を請求されました。
病院は、手術室は完成しますが、折からの地域人口の減少により、期待したほどは回転していませんでした。
銀行への返済は、投資総額の4割分でしたので、理事長も「期待した4割の回転率で赤字にはならない」と高をくくっていました。

しかし、この時期から、理事長と事務長の私生活がいきなりゴージャスになります。

現金で高級外車を購入したり、二人で高級クラブに入り浸ったり、経営に暗雲が垂れ込めている病院の管理者としては似つかわしくないプライベートを送り始めたのです。
病院は、再生支援投資会社が経営破綻した病院の資産処分に携わったとき、金の多さに驚きを隠せませんでした、病院は、西日本の都市で、消化器系、循環器系に強みを持つ総合病院でした。

高度医療施設を整備しようとする病院に対する国の補助金交付が決まった年、病院は、がんや心疾患の手術を行うための無菌手術室を新築する名目で、この支援策に応募します。

建築設計会社からの見積書も添えて、数億の補助金交付を申請すると、申請額の6割を得ることに成功します。
経営者が病院の収入を私的に流用していても、あまり公になることはありませんでした、病院周辺の仕事に携わっている方々なら、次のような噂話は頻繁に耳にするでしょうが、ただの「噂」に終わらないところが、病院経営の閉鎖性を物語っています。

「理事長が自宅の増改築費を病院に請求させている」。
「裏口で私大医学部に入った子息の入学金を病院の金庫から出している」。
「勤務実態がない愛人へのお手当てを病院職員の給与として計上している」。
などなど。

こうした、まるで低級コメディの筋書きに出てくるような非常識な行いがされていれぼ、当然経営も危うくなります、自治体病院の医師求人は大変です。