熱帯性恋気圧 by 美月星夜 aka ケンケン -2ページ目

2015年を締めくくる万年筆

2015年の締めくくりに、何か記念となる万年筆が欲しいと思い立ったクリスマスの日。
まぁ、先日購入したオンラインのヴィジョンをそういう〆の万年筆にしても良いのですが、そのつもりで購入したわけでなく、あれはいわゆるハプニング、衝動買い、物欲の神様の緊急降臨だったものですから、何となく、「今年最後の」感が薄い。

そこで、そのつもりで探してみようと思って、いつもお世話になっている世界堂さんへ行ってきました。
こちらは文具好きの方には有名な画材店ですが、実は文具も充実していて、万年筆のコーナーもあるんですよ。しかも、店員さんはみなさん万年筆だけではなく、筆記具全般に詳しい方が多い!

さらに定価の2割引で購入できる上に、会員になると次回から使える買い物券(購入価格の7%分)ももらえちゃう。だから、実質27%オフで買い物ができるのです。種類は限定さてしまうけれども、もしそこで掘り出し物をみつけたらラッキーという感じでしょうか。

さて、その世界堂の西口本店に行って、ショーウィンドウを見ていたら、ぼくの目に飛び込んで来た万年筆がありました。それまで何度も目にはしているけれども、まったく興味がなかったんです。何となく触手が伸びなかった。

興味がなかったというか。

でも、その日は違ったのです。
とにかく、万年筆の方からぼくの視界に飛び込んできたという感じ。
「ねぇ、ねぇ、私を見て!ケンケンにとって、私は2015年を象徴する万年筆じゃありませんこと?」
という声が聞こえてきたほど。

今日はそんな2015年のラストに購入した万年筆をご紹介します。

まずは開封の義から(笑)。



プラチナ万年筆って、実はあまり持っていないのですが、国産メーカーの中ではとても信頼度が高く、ある文具系に詳しい方から、プラチナが一番好きだという話を聞いたばかりです。
今まで国産はセーラーかパイロットでしょ?などと思っていたぼくは、にわかにプラチナが気になり始めた。



フタをあけると…じゃじゃーん!
こちらです。
プラチナ万年筆の蒔絵シリーズ。
蒔絵シリーズって、どうしても高価なので手が出せないと勝手に思い込んでいたのですが、実はぼくが注目したシリーズは「金沢箔」という特殊な技法を使った万年筆なんです。
金沢箔とはどういうものかはこちら をごらんください。

ブログを読んでいる方はもうご存知だとは思いますが、今年の8月からぼくはとある古典芸能に関する仕事に携わるようになり、その関係で、能、文楽、歌舞伎といった古典芸能を見る機会に恵まれました。(といってもほとんどが自腹ですけど!…笑)

幼い頃能を習ってはいたけれども、元来両親はどちらかというと西洋志向が強く、その関係で我が家は和テイストのものとは縁がとても薄かったのです。(なんと、我が家には和室がないのです!家を建てる際に、和室はいらないよね?という家族3人の合意のもと、和室を作らなかったのであります)

しかし、この約5ヶ月ほどでどっぷりと和な文化に浸ったぼくは、すっかりその面白さに目覚めてしまいました。そして、この万年筆も、そんなぼくにぴったりではないかと思ったのです。

店頭のショーウィンドウには金魚の他に、月と兎、桜吹雪がありました。そして、棚から富士山を出していただき、全4種類があったのです。ぼくにとっては国産のFは細く、試し書きさせてもらっても、やはりぼくにとっては細く感じられたので、Mのペン先で試すことに。

プラチナ万年筆は、個体差が激しいので、店頭で実際に試された方が良いですよと店員さんに教えていただき、そこにあるMをすべて試させてもらいました。そうしたら、確かに個体差、あるんですね。そしてその中から一番しっくりくるのを選びました。

さて、柄ですが、月と兎と金魚で悩んだんです。
月は大好きなモチーフだし。
でも、金魚も捨てがたい。

あれこれと悩み金魚を選んだのは、歌舞伎を自腹で見るようになって初めて見たのが歌舞伎座の納涼歌舞伎。だから、イメージ的に金魚というのはぴったりじゃないかと思ったのです。


ほら、見てください。この金魚の美しいこと!
しかも、水面の模様とのバランスも素晴らしい。











この金沢箔のラメラメ感も素晴らしいですよね。
二匹の金魚の配置、バックの黒との対比など、実に素晴らしいデザイン。
これもまた持っている喜びを感じられる万年筆。

ペン先はこんな感じ。



他のブランドに較べるとやけにあっさりとしていて、キャンディーのようななめらかさ。
ちょっとそこが物足りないと感じる人もいるかもしれません。
あと、キャップが回転式じゃないところも、なるほどこういうところで値段が違ってくるのね、と思わせるものがあります。

でも、初めて購入する蒔絵万年筆としてはこれはかなり及第点なのではないでしょうか。

しかし、実はまだインクを入れていません。
というのも、これに入れるインクをカキモリで作ろうと思い立ったのです。
なので、そのインクについてはまた年が改まってからご紹介したいなと思っております。
どうぞお楽しみに!

というわけで、2015年を締めくくりとなる万年筆は、こちらのプラチナ万年筆 金沢箔 金魚となりました。





ターコイズ色万年筆の魅力~ONLINE VISION

現在発売中の「趣味の文具箱Vol.36」(別名「悪魔の書」…文具好きを奈落の底に落とす雑誌という意味で)でも紹介されていたダイアミンのシマーリングインクを購入すべく、先日代官山蔦谷書店へ。
実はその前に新宿のキングダムノートに行ったのですが、全色は揃わず、しかも次の入荷は2月になるとのこと。でも、どうしても早く全部手に入れたかったので、代官山蔦谷書店に電話で在庫確認をしたところ、その時点ではキングダムノートで欠品していたインクがすべて在庫があるとのこと。そこで全部押さえてもらって、その2日後に買いに行ったのです。
このシマーリングインクについてはきちんとご紹介する予定ですが、その時に、何気なく見て思わず手に取ったのが今日ご紹介するオンラインの万年筆。


どうですか、この見事なまでの、きっぱりとした、潔いターコイズ感!
なかなかここまで開き直った(という言い方は少し語弊があるけど…笑)ターコイズブルーの万年筆ってありそうでないような気がする。

で、ぼくはこの青が好きなのです。
たまらなく好き。
もちろん、深みのある青もいいけど、こういう明るいきらきらした青が一番自分としてはしっくりとくる。
しかも、このオンラインのヴィジョンというシリーズの万年筆の魅力はその色だけじゃない。




この、なんとも言えない縦のカットが魅力的なのだ。
これ、見た目だとざらざらしているのかと思いきや、触ってみるとすべすべなのです。
メタリックなターコイズに特殊な加工をしているような感じ。
前述の「趣味文」の118ページでも紹介されているけれども、その中では「ブラッシング加工」と書かれている。この特殊な縞模様がね、非常に良いのです。
洗練されている感じ。

もう一つのポイントがクリップ。


ちょっと、可愛くない?
この丸みを帯びたフォルム。
なんて素敵なんでしょ。
シンプルなんだけど、こだわりが感じられる。

そこに刻印された「ONLINE」のロゴも良い。




別にどうっていうことはないのかもしれないけど、でも、ぼくはこういうところに魅力を感じてしまうのです。
シンプルなのに、どこか洗練を感じさせるデザイン。
これがもし、たとえばブラッシング加工されていなかったり、クリップが違うものだったりしたら、全然魅力を感じないかもしれない。一歩間違えると野暮ったいものになる場合もある。

洋服にしても同じ。
同じストライプのシンプルな柄でも、線の太さや色遣い、あるいは線の組み合わせの微妙な違いによって、洗練度が違ってくる。
万年筆にも同じことがいえるのではないだろうか。

このオンラインのヴィジョンはそういう意味でもとってもモダンで持っているだけで幸せな気持ちになれる。

ターコイズっていうとどうしても夏というイメージなんだけど、このヴィジョンのターコイズはそのブラッシング加工のせいなのか、あたたかみもあるから、今の時期にもぴったりなんじゃないかなぁ。冬の東京の空!っていう感じもするしね。

さて、実際に書いた感じはどうかとうと…。


意外にも書きやすくてびっくり。
スチールペンなのに、そんなにかちかちに固くない。
でも、かといって当然柔らかくてしなるっていうわけでもない。
その微妙な硬さがなめらかな筆致に繋がるのかもしれない。
字幅はMなんだけど、これがまた太すぎず、細すぎず。
こうやってトラベラーズノートに書いても文字がつぶれることはない。
筆圧がとても高いぼくの場合は、スチールペンだとちょうど良いのです。
ペン先がつぶれることを心配せずに書けるから(笑)。

ところで、投入したのは、もちろん、同時購入したシマーリングのブルーパール。
本当は、ターコイズにはもっと明るいライトニングブルーの方が良いかと思ったのですが、実はそちらは別の万年筆に入れちゃったので、こちらを入れてみた。

そうしたら、まぁ、組み合わせとしてもとても良いのです。







万年筆というのは、文字を書いている時に、いつでも視界に入ってくるから、自分の気に入った色やデザインじゃないと気持ちが入らない。
もちろん、書き心地も大事だけど、持った時の喜びを最大限に感じさせてくれる色やデザインというのはぼくの場合は最優先してしまうんだなぁ。

しかも、このシリーズの良いところは、価格が意外にも安価なこと。
一万円以下で買えてしまうのです。これはもう、買いでしょ?
ただ、コンバーターをお忘れなく。
オンラインは取り扱い店舗が限られているので、コンバーターが欲しい方は同時購入をおすすめします。
1000円ほどするのでちょっとお高めだけど、それでも、万年筆と合わせても一万円以下。
それに、シマーリングのインクをプラスしてちょうど1万円ぐらいになります。

はぁ、それにしても万年筆ってなんでこんなに魅力的なの!
というわけで、これからも素敵な万年筆やインクをがんがんとご紹介していけたらなと思っております。


美男子考



美男子考
美月聖夜 aka ケンケン

数年振りに名刺のデザインを大幅に変更した。今までは、ある敏腕編集者の教えに従い、名刺の裏表を効率良く使い、自分のライター歴などの情報を記載していたが、もっとシンプルなものにした。名前と連絡先とブログやホームページなどのURLのみ。そして、手書きのサインを入れられる空白も用意しておいた。一枚一枚万年筆でサインを入れる。そこから何か面白い話が生まれるかもしれないから。

デザインを大幅に変えても、肩書きだけは変えなかった。その肩書きというのが「ライター・山田詠美研究家・美男子評論家」である。

最初の二つはそれほど突っ込まれることはない。問題は三つめの「美男子評論家」である。まず、多くの初対面の人はここに注目する。そして笑いながら「これは何ですか?」とたずねてくる。以前は「普通のライターだけじゃインパクトが薄いから、印象づけるためにそう書いているんです」と苦しい言い訳をしていたが、最近は面倒臭いので、カミングアウトの意味も込めて「さすがに男好きなんて名刺に書けないので、そういう肩書きにしているんです」と答えるようにしている。

そうすると決まって聞かれるのが「美男子ってどういう人ですか?」という類の質問。「美男子評論家」と書いているからには、それなりにまっとうな答えを、すらすらと淀みなく繰り出したいところだが、いつもぼくは悩んでしまう。美男子の定義は人によって違うから的確に表現するのは至難の技。具体的にどんな人と問われると、速水もこみち、生田斗真、ソン・スンホンなどと、無難な二枚目を挙げるのだが、でも実際にぼくが思う美男子は少し違う。そういう人は一般人の中にひっそりと隠れているから。ちょっと色気があって、一見遊び人風なんだけど、実は真面目で情に篤い。そんな雰囲気が外に滲み出ている人。うーん、やはり難しいよなぁ。


万年筆:カランダッシュ オンライン ヴィジョン ターコイズ

インク:エルバン ダイアミン シマーリング シーマーリングシー

原稿用紙:飾り原稿用紙「蔓葡萄」








感激観劇記録★国立劇場・通し狂言 東海道四谷怪談 6回目(千秋楽)

分 野:歌舞伎

場 所:国立劇場大劇場
公演名:通し狂言 東海道四谷怪談
日 時:2015/12/25(金)12:00

座 席:1階3列18番



12/3の初日から続いた国立劇場での「東海道四谷怪談」の千秋楽を観に行ってまいりました。
この日のチケットは、発売日初日に購入し押さえておいたのですが、正解!
最初のうちはあまりお客さんが入っていなかったようですが、だんだんと客席のお客さんが増えてきて、いつの間にか千秋楽が完売になってしまっていたのです。まさかそんなことになるなんて思わなかったけれども、やはり見たいと思った公演のチケットはきちんと確保しておくべきだなと思いました。

ただ、チケットの発売というのは、当然のことながら公演前だから、果たして面白いかどうかわからない。実際に見てから決めようと思っても、公演が始まってしまうと、チケットが瞬く間に売れてしまうっていうこともある。

ある意味それは賭けでもあるわけです。

でも、今回の公演に関しては、まず演目が楽しみだった。ぼくでもお岩さんのことは知っているし、怪談ものは大好きだし。(ホラー映画は苦手だけど)あと、やっぱり染五郎・幸四郎親子に興味があった。歌舞伎だけではなく、テレビや舞台などでも活躍している二人を見てみたいというのもあった。そして、もちろん、隼人くん(笑)。

そういう、いくつかの興味が重なり、これだったら何度見ても面白いだろうと思って、事前にチケットを6枚確保したのであります。でもね、やっぱり実際に舞台を見るまでは不安だった。もし、これが万が一つまらなかったらどうしようとか、期待外れだったらどうしようとか。

ところが、そんなのは初日の舞台が始まって5分で吹き飛びました。
とにかくすべてが楽しい。
非常に良く練られた作品だったのです。

今まではこれから見る人のために、ネタバレしないように書いていましたが、今日はちょっとネタバレしつつ昨日の千秋楽を思い返してみようと思います。

まず、今回の「東海道四谷怪談」の一番の面白さは、やはりその演出にあります。「四谷怪談」と「忠臣蔵」というのは、密接な関係にあり、「四谷怪談」に登場する人物たちは「忠臣蔵」の登場人物と重なるのです。そして、初演時には両方が交互に演じられたのだとか。今風に言うと、「四谷怪談」は、「忠臣蔵」のスピンオフということになります。

で、そのことを踏まえて、今回の「東海道四谷怪談」が上演されたわけですが、それについて若干説明が必要なので、一番最初に、なんと染五郎さん分する作者の鶴屋南北が登場し、そのことを説明してくれるのです。この演出の面白さ!これがあるおかげで、だいぶ見やすくなります。

その説明の中にあったように、本編に発端が付け加えられ、さらに大詰めも忠臣蔵の討ち入りシーンが加わり、新しい四谷怪談が生まれたのです。そのアイディアは素晴らしいなと思いました。

染五郎さんが、今回の舞台にかなり力を入れられているというのは、何かのインタビューで読んでいたので、彼がどれだけ熱心に取り組んだのかがひしひしと伝わってきました。

また、お岩さんがなぜお化けとなって出てきたのか、というのが全体を通して良くわかり、そこがまた通し狂言の面白いところでもあります。これだったら、誰だって化けて出るわいなぁと思わせる説得力がありました。

それにしても、伊右衛門の非常な男ぶりには腹が立つ。
昨日、ぼくは花道脇の前から三列目という席で見たのですが、思わず伊右衛門演じる幸四郎さんに、「こらああっ!」と叱りつけたくなりました。でもね、そこまでするからこそ、お岩さんの執念というのが浮き出てくるんでしょうね。

さて、その幸四郎さん、ぼくの周りでは幸四郎さんはミュージカルの人だから、歌舞伎はちょっと、という辛口の声がちらほら聞かれます。ぼくも素人ながら、「ん?何を言っているの?」と思う長台詞も先月の歌舞伎座の舞台でありました。台詞が全部リエゾンしちゃっているの!まぁ、そこが彼の持ち味なのかもしれないけど。でもね、今回の舞台はそのあたりは改善されているように思えました。台詞が聞き取りやすかった。台本に工夫がされていたからかなぁ。ただ、幸四郎さん、体力的に少しきつそうだったのが残念。思わず、伊右衛門、がんばれ!と言いたくなる場面も(笑)。

でも、やっぱり幸四郎さんは見せてくれますね。本当に凄い人だと思いました。立っているだけで、伊右衛門の色悪な感じが出てた。まぁ、お年のことは置いておいて、なるほど、こういう男だったら隣家のお嬢様が恋煩いにもなるだろうなぁと思わせる色香が漂っていた。そこがまた歌舞伎の面白さなわけでして、存分に楽しませてくれました。

そして、今回の一番の活躍は何といっても染五郎さん。もうね、彼はすべてにおいて完璧。台詞もしっかりと聞き取れるし、綺麗だし。早替わりもすごかった。ええええっ!いつどこでどうやって、こうなったの?というような早替わりの連続。特にお岩さんが逆さまになって悪婆の首を絞めながら天井に消えた後、いつの間にか花道に颯爽と登場するシーンは驚き意外の何物でもなかった。どんなトリックがあったんだろう。

まぁ、そこは変に詮索しない方が良いのかもしれませんね。

個人的には隼人くんにも拍手を送りたい。先日写真集の発売時、サイン会に参加したのですが、その時に「6回みるんです」って言ったら、すごく驚いていたけど(笑)。でもワンピースでの活躍がさらにこういった古典歌舞伎にも繋がり、これがきっかけで若いファンが増えるというのはとても良いこと。ただ、ぼくは何度も思うけど、もっともっと古典歌舞伎の世界でがんばって欲しい。せっかくそういうお家柄(そうそう、お父様の錦之介さんも素敵だった!本当に素晴らしかった。昨日目の前で拝見して、惚れた。品があって、カッコイイの!)に生まれたのだから、それをいかして、若いうちに古典歌舞伎を徹底的に吸収すれば、きっともっともっと良い役者さんになるのではないかと思ったのです。テレビなどに出るのはそれからでも遅くないはず。

などと、素人ながら思ったのでありました。
まぁ、ファンの中にはもっとテレビに出て欲しいと願う人も多いとは思うけどね。

ところで、歌舞伎につきものの、突っ込み処、今回も満載でした。
特にですね、大詰第一場 本所砂村隠亡掘の場で、悪事が露見し、身を隠している伊右衛門が、母親とすれ違うシーン。伊右衛門は傘を目深にかぶっているんだけど、すれ違った時に母がその中をのぞき込み「おお、伜!」って言うのよ。そのご都合主義的なところはいかにも歌舞伎の世界だけど、ちょっと不自然かなと。さらにその母親が息子の悪事をかばうために、息子を死んだことにしようと卒塔婆を作って持ち歩いているって、おいおい!いくらなんでもそりゃひどすぎるだろ!と思った。親子揃って、本当に極悪人!この親にして、この子あり(笑)。

同じ場で、伊右衛門の隣家にいた伊藤様のお槇とお弓の落ちぶれぶりったらありゃしない!乞食に成り下がった二人の姿が哀れで、お岩が亡霊となる原因にもなった二人なだけに、ざまぁ、みやがれ的な気持ちになる。ただ、その二人が、乞食になっても「お夜食の準備をいたしますね」などとお屋敷暮らしが抜けないところが笑えるし、哀れだし。

そうそう、その伊藤家に初めて伊右衛門が訪ねた時のこと。
伊右衛門に片想いをしているお梅(米吉君、綺麗だった!)は、伊右衛門が結婚しているのを知っていながらも、あきらめきれず、自害をしようとするのよ。そして、それを家族がみんなして止めるどころか、いっそのことわたしも…みたいになる。でも、それは企みだったんだよね。そこまですれば伊右衛門がお岩を捨ててお梅を迎えてくれるのではないかっていう。
もうね、本当に根性悪い!なんなの!この家族!腹立たしい!というツッコミもございました。

もうひとつ、こういう見方をするのはぼくぐらいだとは思いますが、ちょっとなムフフな視点。
序幕 第二場 浅草田圃地地蔵前の場で、染五郎扮する与茂七と、隼人くん扮する庄三郎が、お互いに着ているものなどを取り替えようという話になる。そこに酔っ払いが登場するものだから、二人は稲叢の陰に隠れちゃうのよ。ちょっと!もしそこに酔っ払いが登場しなければ、そこで二人の生着替えが見られたかもしれないじゃないの!

まぁ、さすがにそれができないから、この酔っ払いを登場させたんだとは思うけど。ふたりはこの稲叢に隠れて、何をしていたのかしら?(短い時間だけど)などというBL的な不埒な妄想もしちゃったりして、どうもいけません。

千秋楽だったからなのか、花道から薬売りの藤八と直助が登場する時、何かを客席に投げていた。あれ、手ぬぐいかしら?欲しかった~!

それと、やはりこれも千秋楽だったせいか、各見せ場がたっぷりだった。結構時間をかけてやっている印象を受けました。だから、終演時間が10分ほど押していました。これは千秋楽のサービスのひとつだったのかもしれません。

というわけで、ぼくは合計で6回見に行ったのですが、本当に素晴らしかった。
染五郎さんの思い入れが強かったというのはインタビュー記事で読んでいたから、余計にその思いを感じることができたし。染五郎さんの演技なども素晴らしかったし。(まぁ、ちょっとお岩さんにしては恰幅が良いなとは思ったけど…笑)。

そうそう、昨日たまたまお隣に座った女性が染五郎さんのファンの方で、大詰めで声をかけられていました。なんと幸四郎さんと区別するために「ソメコウライ」って言うんですって!女性がそうやって声をかけるのもぼくは良いと思います。しかも、ソメコウライなんて可愛いじゃない?

6回見ても飽きなかったのは、やはりそれだけ演出などが素晴らしかったから。あと、ぼくの好きな演目、役者だったというのもあると思います。こういうのも本当に相性だからね。

最後、ぼくは盛大な拍手を送りました。
役者たちだけではなく、この舞台に携わったスタッフ全員にも大きな拍手を送りたい。とても良い観劇の思い出ができました!そして、これで2016年8月から始まったぼくの観劇もひとまず区切り。

来年は、誕生日に隼人くんに祝ってもらうために取った1/2の浅草歌舞伎から始まります。それにしても、本当に、歌舞伎役者さんって、お忙しいのね。くれぐれも体には気をつけてがんばって欲しいなぁと思っているのであります。




自分へのご褒美も兼ねて、前から三列目の特等席を取りました。
一年の締めくくりとしてふさわしい席だと思った!

感激観劇記録★国立劇場・通し狂言 東海道四谷怪談 5回目

分 野:歌舞伎

場 所:国立劇場大劇場
公演名:通し狂言 東海道四谷怪談
日 時:2015/12/25(金)12:00

座 席:3階12列43番

千秋楽前日の昨日、ぼくにとっては5回目となる東海道四谷怪談を観て参りました。
こんなに同じ演目を観る人もそんなにいないのではないかしら?と思うくらい観ております。
でも、今回の東海道四谷怪談は実に面白いです。何度観ても飽きないし、新しい発見があるし。
どうやら、お客さんの入りも良い模様。
なんと23日の祝日、そして千秋楽はいずれも大入り満員。
そして、千秋楽前日の昨日もチケット売り場には今まで見たこともないくらいのチケットを求める長蛇の列。
初日からしばらくはそれほど人が入っていなかったのに、じょじょに口コミで人が増えていった感じがします。
きっとぼくのこのブログを読んで「観に行こうかな」と思って足を運んでくださった方もいるかもしれませんね。
もしそうだったら嬉しいです。

さて、ぼくは今回はチケットの発売日にチケットをすべて押さえたのですが、どうやって見るのが面白いかなと思いながらチケットを取りました。
まだチケット発売日は席に余裕があったので、自分なりに観劇プランを練ることができました。
で、ぼくは、少しずつ席のランクをアップしていくことを考えたのです。
最初の方は後ろの方で全体を見て、何度も見てから前の方で細かいところを見ようと。
そして、ラストの2日は一番後ろと前の方で見比べようと決めたのです。
残念ながら、最前列は取ることができなかったのですが、千秋楽は花道横の前方をゲット。
だったら、その前日は一番後ろで見ようということで、今日の席は初日と同じ3階の最後列。


やっぱり見やすいなぁ。
国立の席は本当に見やすくて助かります。
全体を見るにはここで十分かもしれません。
ただ、1500円の席は一列しかないから、いつも争奪戦みたいですけどね。

今日は比較的若い子が多かった印象。
大学生ぐらいの団体さんがたくさんいたようです。
みんな隼人くんのファンかしら?と思ったのですが、そうじゃなかったみたい(笑)。

まだ千秋楽を見る方もいらっしゃると思うので、まだネタバレはしませんが、3階席だからこその楽しみもあったので、そのことについては総括としてまとめたいと思います。

今回もぼくは台本を片手に見ました。
そうすると、本当にいろんなことがわかってくる。
2回目に見た時と、また微妙に台詞が違っているのです。
2回目に見た時は台詞が台本と台詞が違っていたところが、今回は台本通りだったり。
きっと、その時の気持ちで変わってくるんでしょうね。
役者さんも台本は頭に入っているけれども、役になりきっているのだから、台詞がそのたびに違ってくるのはある意味当然のこと。また、周りの人たちとの掛け合いによっても違って来るから、だから生というのは面白いんでしょうね。

あと、前回も書きましたが、台本の巻末の用語集は本当に便利です。
今回もね、例えば、「ご新造様」という言葉が頻繁に出てくるんだけど、なんのことだろう?って思っていたの。用語集にしっかりと解説が載っていました。

「ご新造様 「新造」とは、町屋の富貴な家の養女を言う。」」

とあるではないですか。まず今では使わない言葉だから、こういうのは物語を理解する手だてとなります。
さらに、

「辻君 夜間、道端に立ち、通行人を客として色を売った女。夜鷹。」
「地獄 地獄宿の略。「地獄宿」とは、私娼を置いた家。淫売宿のこと。」

とあるわけです。何気なく聞き逃してしまう台詞だけど、「ええええっ!あの姉妹、そんなことしてたんかい!」という驚きが増すというわけです。


そういうのがあちこちにあるから、台本は欠かせない!

でね、昨日はですねぇ、最後列だから、思う存分、大向こうができました。
といっても、萬屋さんだけだけどさ。
隼人パパの錦之助さんも好きな役者さんなので。

そして、やっぱりあの立ち回りは見せるねぇ。
今日は先週よりも拍手が大きかった気がするのは、サイン会の後だからでしょうか?(笑)
あのシーンはとても楽しくて、かっこよくて、見どころの一つだなぁ。

というわけで、泣いても笑っても、本日の千秋楽を残すのみ。
チケットをゲットできた方は本当にラッキーな方。
なんせ、もう売り切れ、大入り満員なんですから!

ぜひとも、思う存分楽しんでください。




ロビーには来月の歌舞伎公演、そして2月の文楽公演の案内が出ておりました。
はぁ、もう本当に楽しみ過ぎます!
3月は新派公演もあるし。
来年も観劇をたくさん楽しめますように!