大禅師文子の事件簿 第65話「ニューヨークミステリー」 | 大禅師文子Official Blog Turn Me On~私を熱くさせて~

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 大禅師文子の英会話の特訓は毎日毎夜続いた。
教育テレビの英会話番組が始まると大禅師文子は、直ぐに眠ってしまった。
大禅師文子が眠った後にテレビを消すのが、ブーミンの日課となっていた。

そんな毎日が繰り返され、いよいよニューヨークへの旅立ちの日がやってきた。
大禅師文子一行は成田空港に着くと搭乗時間まで、機内食を魚にするか肉にするかで悩んでいた。
「グゥ~。」
大禅師文子は朝から何も食べていなかったので、とうとう待ちきれずレストランに入ってしまった。
「赤ワインもいいけど、たまには白もいいわね。」
そこへウエイトレスがやってきて
「お魚料理とお肉料理、どちらにいたしますか?」
「お魚でお願いします。」
「少々お待ちくださいませ。」
しかし、出発の時間は刻一刻と迫っていた。
ハセクラが
「大禅師さ~ん、間もなく出発ですよ~!搭乗口まで来てくださ~い!」
と叫んでも全く聞こえていなかった。
大禅師文子はそんな事とは知らず、呑気に白ワインを飲んでいた。
出発の時間になっても現れないので、空港内のアナウンスで呼び出す事にした。
「麻布からお越しの大禅師文子様、至急8番ターミナルまでお越し下さい!」
大禅師文子はようやく気付き、
「私の名前を呼んでいるわ!行かなくては!!」
大禅師文子は残っている白ワインを一気に飲み干し、ターミナルへと向かった。
「大禅師さーん!早く早く~!」
出発時間にギリギリ間に合い、大禅師文子と一行を乗せた飛行機は無事に成田空港から離陸した。

大禅師文子はファーストクラスの座席に着き、英語の機内誌を読んで?見ていた。するとしばらくして、待ちに待ったCAがやって来た。
「Fish or Pork?」
と聞かれ、大禅師文子は構えていたかのように
「Yes,Pork!!」
と答えた。
「!!」
荷物検査のときにバッグの中に詰め込まれたまま眠っていた黒豚のブーミンとコブラのチーちゃんは、バッグの中でその声を聞き驚いて目覚めた。
そしてブーミンは自分も機内食に出されるのではないかとビクビクしていた。
大禅師文子は出発前の白ワイン、機内での赤ワインを飲んで酔っぱらい、ニューヨークのケネディー空港に着陸するまで眠り続けていた。
飛行機が着陸すると突然、大禅師文子がハセクラに言った。
「ねぇハセクラ、今日の夜のお食事会のスケジュールを教えてくれる?」
「は、はい…?」
全くノープランだったハセクラは焦った。
大禅師文子が飛行機の中で見た夢は「ローマの休日」だった。そのため頭の中ではホワイトハウスを訪問し、アメリカ大統領と一緒に食事をするという勝手なプランが出来上がっていたのだ。
「大禅師さん、タイムズスクエアへ行きましょう。」
ハセクラは思いついた言葉を言ってみた。
「そうね、ブロードウェイ鑑賞だったわ。今話題の『キャバレー』ね!」
「えっと…。」
これも大禅師文子が飛行機の中で見た夢であり、現在ブロードウェイでは『キャバレー』は上演されていなかった。
「ねえ!ハセクラ。その前に自由の女神に会って挨拶しないとね。それからセントラルパークでリスに餌をやり、マンハッタン・アベニューでベーグルサンドを食べるの…それから、リンカーンセンター、それから…」
大禅師文子はやがてタクシーの中で眠りについた。
ハセクラは内心、予想外に穏やかなスケジュールになりそうで安心した。
しかし、そんなはずがなかった。大禅師文子は寝言で
「私はこのニューヨークでマリリンよりも有名になるの。アポロシアターで、ニューヨークデビューよ!」
と言っていた。
こうして大禅師文子一行のニューヨークの旅は始まったのであった。


来週に続く…