小日向将人氏の「死刑囚になったヒットマン」を読んだ。

 題名のとおり、氏は現在殺人の罪で死刑囚となり刑務所に収監されている。

その氏の獄中手記を文春の記者 山本氏が本としたものである。

事の発端は、2001年 四つ木斎場で住吉会の法要の最中、稲川会大前田組の人間が住吉会のネクタイを締め法要に紛れ込んだ。その上、住吉会幹部2人を射殺してしまう。

 組織の上部同士で手打ちが行われたが、納得しない住吉会側で、稲川会大前田組艦会社への報復を計画する。その首謀者が住吉会幸平一家矢野睦会であり、氏が実行犯となる。

 手記にもある様に、様々な葛藤の末、前橋スナック銃乱射事件が起こり、無関係な一般市民3人を含め4名の死者が出る大事件となる。

 氏は、事件後、組織に反旗を翻し、遺族への謝罪、罪への贖罪の意識から親である矢野を含め事件の全容を全て自白する。その上で、3人の殺害で死刑を宣告される。氏に対し死刑を宣告する裁判長も同情の涙を流した。

 組織の命令が絶対の世界で生きてきた氏にとって、命令に抗し、尚且つ自らの家族を組織の報復から守ることが出来たのか。難しい問いかけである。

 氏は現在、クリスチャンとなり獄中で遺族の為に祈っている。