保坂正康氏の「テロルの昭和史」を読んだ。

氏のライフワークある昭和史の研究を通して現代のテロ(安倍銃撃事件、岸田爆弾投擲事件)昭和の前期に実際に起ったテロを詳細にそして本質を明快に突く氏の論説は見事である。

 特に、陸軍の若手将校が結成した桜会を中心とした10月事件。それは、日本を純粋困難から救うための行動ではなく、陸軍の権力闘争であった。

 民間側から参加する右翼も参加将校の姿勢に疑いを持った。それゆえ血盟団事件が勃発した。

又、青年将校たちの度々のクーデータ計画及び実行された計画に対して陸軍上層部は責任を取らせるどころか、処分さえされない有様となった。そして、陸軍の軍閥同士の争いから永田軍務局長惨殺事件から226へと繋がり、軍のむき出しの暴力に対する無抵抗な政治体制となり、日本国の無条件降伏までつながった。

 氏のこれまでの研究から導き出された各事件の意見は拝聴に値する。