村瀬秀信氏の「虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督」を読みました。

 1955年 松木監督の後任監督は、当然ミスタータイガースである藤村富美男が成るものと考えられていたが、謎の老人でプロ野球の経験0の「岸一郎」が着いた。

 そして、開幕から2ヶ月で岸監督は選手から排斥され監督を退任させられている。その岸監督の人生を丹念に追ったノンフィクションである。

 早稲田大学から満州まで大スターであった過去。野球を引退した後は、ギャンブルと女色にのめり込んだこと。そして3人の子が本妻の子でない事。寡黙に見える岸が実は結構なおしゃべりで尾ひれを着けて話をすること。600年続いた敦賀の庄屋でありながら、岸とその息子でその財産を使い果たした事などを丁寧に取材されている。

 氏はタイガースと言う悪の強い人間を引き付ける集団に係る人が好きなんだなと感じる。と言うより人間が好きで、成功も失敗もする人間が好きなのだと感じた。