大木毅氏の「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」を読んだ。

史上最大最悪の地上戦となった独ソ戦。その過程を丁寧にわかりやすく解説した著作である。

ヒットラーはそのドイツ政権奪取以降、ソ連をドイツの食糧供給地として支配することをたくらんでいた。その上、差別主義者のヒットラーはスラブ民族を下等民族とみなしドイツに隷属すべきと考えていた。

 そして、不意打ちに300万のドイツ軍がソ連国境を侵した。その上、そのドイツ軍の後方から「出動部隊」と言う、ドイツに都合の悪い人間を虐殺する目的で派遣された部隊が、ドイツ侵攻後の土地で人民を虐殺した。

 ソ連も捕虜としたドイツ人を強制労働と虐待で捕虜の殆どを死に至らしめた。

まさに、地獄の戦場である。このような独ソ両国の戦闘状態では和解、若しくは停戦はありえない。ヒットラーの死によってこの史上最大の地上戦は終結する。が、この戦争の禍根をもたらしたのは、ナチスだけではなく、ドイツ国民も周辺国からの富の収奪を行い、ドイツの豊かな生活を甘受した。ヒットラー及びナチスだけがその責任を負うのではない。