やむを得ず、相続をしました。
母に次いで父も亡くなり、兄弟はいないので、私しかいません。
若いころは「絶対に相続放棄してやる!」と心に誓っていましたが、これまでに得た知識により、相続放棄をしたところで管理費がかかるとか、私が放棄すれば、年老いた叔母さんに面倒が回っていくことを考えると、一旦は相続するしかないと判断しました。
わずかな預貯金と、家・畑・田の不動産。
唯一ありがたいことに借金はありませんでした。(保険料の滞納はありましたが)
農業に関すること、実家周辺の事情は全くと言っていいほど知らなかったので、田舎から離れて暮らしている私の常識では困惑するばかりです。
まず、市町村合併したにもかかわらず、旧住所名による区費の二重徴収。
実家の住所は、今は合併で町名がなくなって
「◻︎◻︎市⚪︎⚪︎」ですが、昔の地名は
「◻︎◻︎市◇◇町大字〇〇字△△」なんです。
今回、私が実家を相続するにあたり、
「⚪︎⚪︎区費」と「△△区費」の2つの請求がありました。
は?
実家の土地建物は相続して私の名義になりますが、私自身の住所は別です。だから他の人の半額でいいと言われました。
そもそもの話、区費とかって住んでいることが前提なのでは?さらに二重って…。
まあ、耕作放棄地などを置いておく手前、草刈りやなんやとうちの分を他の方が負担してくださることもあるだろうと思うし、いきなり「協力しません」という態度をとるのも憚られたので、とりあえず来年1年は承諾しました。
父も亡くなるまで半年くらい入院していたので、今年の草刈りなどの不参加費もあると言われ断りにくかったのもありますが、なんとも腑に落ちません。
困惑案件その2、⚪︎A依存の高さ。
地区の費用もお寺の費用も振込(口座振替)は⚪︎A です。⚪︎A以外だと手数料かかります、と。
農家の娘ですが、私は昔からあの「なんでもかんでも⚪︎A 」というのがどうにも気に食わなかったので、働き出した時に⚪︎A から地方銀行へメインバンクを移しました。(最初は問答無用で⚪︎A バンクでした)
さらに問題なのは不動産です。
限界集落の不動産なんて、値段が付かないことは想像に難くありません。
宅地はまだいいですが、どちらかというとうちの実家の場合、田がメインです。
農地は農地法という法律があり、おいそれと地目変更(農地を宅地に変えるなど)はできません。だからと言って農地のまま売却しようとしても、農地は「継続して農業する人」にしか売却できないという条件があり、売り先も限られてきます。隣接田の持ち主の方にたとえ1枚でも譲ることができれば…と思いましたが、そこは限界集落。実家周辺でも主に農業をしているのは、私から見てもおじいさんおばあさんがほとんど。どのお家も後継者は独立されて家を離れていらっしゃるお家が多いです。自分たちの農地も今後どうなるかわからないのに、人の土地をもらって手を広げようというアクティブなおじいちゃんはほとんどいません。
ならばと地域の農業委員会(農業の絶対的窓口)に相談するも、「斡旋はしていない」と一言。
…じゃあどないせいっちゅーねん?
農業委員会とは、いったい何をしている機関なのでしょう?
ググると「農地の売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申、担い手への農地集積、遊休農地の解消、新規就農者の支援などを通じて、地域農業の振興と農地の最適利用を推進」と書いてあります。
「じゃあどうすればいいんですか?」と素直に聞いてみたところ、なんとこちらも、「お近くの⚪︎A さんに相談してみてください」
アンドユーブルータス!
なんでもかんでも⚪︎A 体質はここにも!
とは言え⚪︎Aも、営農する人がいなければ斡旋もできない。
結局は国も民間も難しい事は「棚上げ」にしたまま、相続者は荒れていく土地の税金を払い続けていくしかない。
第1次産業が大事だの、米農家を守るだのと今まで何人もの政治家さんや農林水産省が言ってきましたが、実際に困っていることには手を貸さない。
というか、現状何が田舎で起こっているのかを本当は知らないんじゃないだろうか。
ばあちゃんも、両親も、現役のころはそれはそれは頑張ってお米作ってたよ。⚪︎Aや行政にだってお世話もしてもらっただろうけど、ちゃんと貢献もしてたじゃん。なのに、できなくなって困ってることには何の手も貸してくれないの?会社だったら親族かどうかに関係なくできる人が上に立っていくのに、なぜに農業は「家」に縛り付けられるのだろうか。
「ご苦労様でした。次の担い手がいないなら、他の担い手さんに託しましょうね」ってなんでならないの?
持っていたって、活用できなきゃ意味がない。
農地を農地として囲い続けるなら、生産高が上がらないとマイナスでしょう?
とは言え、
国⇒農業をしていなくても、所有者に税金はかける。だから税収は確保できる。国はどこかから農地を借りているわけじゃないから対策はしない。
⚪︎A ⇒自分たちの管轄ではあれど、土地が遊んでいようとそのことに自分たちに何かの支払い義務も罰則もないから放置、米の取れ高が減ったら金額上げるから問題ないってなもん。
これが現実だと思う。
⚪︎Aが核となって農業法人を作り、大規模に人を投入して、休耕田で米を作る。
どうして、それをしようとしないんだろう。
海外から働ける人が来ても、都会であぶれて犯罪者になったりしてる。
そんな、日本人も余ってるようなところへ来てもらって結局余らしてしまうんじゃなくて、日本人すら足りないところへどうして来てもらおうとしないんだろう。
じゃあお前ら(相続人たち)がそうしろよって言われるかもしれないけど、そこにも事情はある。
昔のように母親が担い手となる子供をたくさん産んで、誰かが家を継ぎ、たとえ都会に働きに出ていても、農繁期には実家に戻って農業を手伝える家を保っていけるならいいでしょう。
うちは、祖母の子供は女性が多くほとんどが夭逝(戦時中ですからね)。家を継いだ父親も体は丈夫な方ではなく、発達にも障害があるような人でした。そして、嫁に来た母親も障害持ちで、兄を死産し、なんとか私一人を生んだだけ。
営農なんてやっていける規模はすでにありません。
でもそれは、どうしようもないこと。
子供がたくさん生まれるか、その子供が農業を引き継ぐかなんて誰にもわからないし、強制もできないこと。機能不全家族で育ったひょろい一人娘が何ヘクタールもの田んぼを一から営農するなんて、ハードルが高すぎる。
億が一、一念発起して営農するとしても、1人では無理。旦那と家族営農するとしても2人じゃできることは限られているし、それをカバーするために人を雇おうとするならお金もかかる。法人化するならさらにハードルは上がる。
ノウハウも全部⚪︎Aは持っているだろうに、なぜ使わないのか。
結局いい顔だけして、寄り添わないから、営農者からも離れて行かれて、個人農家と個人という商いが増えてくるんだよ。
実際、知人の農家さんも、⚪︎Aから離れ、自分で米の売買を始められました。(その方とうちの実家は離れているので、簡単に「うちの田んぼもどうぞ!」とはいきません)
核家族化だ、老老介護だと現実がわかっているかのような発言をする政治家さんたちは、それが都会だけでなく田舎もそうで、田舎でそうなるということは、ただ家族というものの形態が変わるということではなく、農家という名の「会社」がいっぱい倒産していて、土地がたくさん荒廃していってるということをわかっていないんじゃないかと思う。
私にできることは限られる。
まあ、できることはするつもりではあるけれど、そもそも両親でさえ、それしかできないから農業をやっていたような、望んで楽しんで農業をしていたわけではない。縛られていた人たちだ。そんな親の姿しか知らないから、そんなことをそもそも私はやりたいと思わないし、私には今の私の生活がある。それを壊してまで、実家に縛られるつもりはない。
私は立場上相続するけれど、私には子供がいないから、旦那が私より先に亡くなれば、私が死んだときには相続人がいないということになる。
そうなってやっと、この土地たちは誰のものでもなくなるのだ。死ななければ土地を手放せないなんて、なんとも言葉がない。
先日、叔父夫婦に、実家の片づけと相続手続きが終了したことを知らせました。売れるかどうかわからないけど、実家の不動産も売却の方向で専門家にお願いしていることも伝えました。
面と向かって「叔母さんの実家、これにて断絶です」と言うのが怖かったので、手紙にしました。叔母はもう認知低下があって、叔父が介護をしています。なので、この手紙の意味を理解したかどうかはわかりません。でも、その後2人から連絡があり、「内容には納得したよ。仕方ないよ。大丈夫、思ったようにしてくれていいよ」とのお言葉をいただきました。涙が出そうでした。
実家の土地は、今ひとつ商談が進んでいると聞いています。なんとか、活かしてくれる方の手に渡り、活用されていくことを願うばかりです。

