(ケイタのことを知っているのに…カガリちゃんのことを
知らないのは、おかしい…)
だったら、リンネさんとカガリの声は、ホンモノなのだろうか?
アキはクルリと、トンネルの方を振り返る。
緑色のウズを巻いているトンネルが、まるで灰色がかった霧の
ようになっている。
(まずい、消えちゃう!)
アキはあわてて、トンネルに向かって走り出す。
「アキちゃん、行っちゃダメ!
そっちに行ったら…帰って来られなくなるわよ」
カガリの声が、近付いて来る。
「アキちゃん!」
ショータが急いでアキに追いつくと、グィッと彼女の手を
引っ張る。
「あやかしの声に、惑わされたらダメだよ」
そう言うと…シャン!
リンネさんの鈴の音が、響いて来る。
「リンネさん、どこにいるの?」
これだけウロウロしているのに、チラリとも見えないのは、
やっぱりおかしい…とアキは思う。
「鈴の音が聞こえる方へ、行ってみよう」
ショータがアキの腕をつかむと、金次郎とは別の方向に
向かって歩き出す。
「おい、待て!
そっちは、違うぞ」
金次郎の声が、追いかけてくる。
「いいんだ!」
ショータはひと声上げると、
「さぁ、アキちゃん、アイツの声を聞いたらダメだ」
金次郎を無視して、歩き出す。
「おい、ちょっと!」
金次郎の声が、追いかけてくるけれど、なぜか二人を引き
戻そうとはしない。
(それって、リンネさんの鈴のせい?)
よくわからないのだけれど。

