「おい、あんまり強くたたくなよ!
割れたら、どうする」
裕太をとがめるように、ジュンペイが怒鳴る。
「割れるわけがないだろ?
石でたたいたわけでもあるまいし…」
あきれ果てた顔でそう返す。
すると…何かの拍子に、ゴロンとその岩が動く。
「ほら!だから、言っただろ」
すかさずジュンペイが、そう一声上げると、その岩を
守るようにして、身体でスッポリと覆いかぶさるようにする。
「これ…ホンモノの石みたいに、すごく固いぞ」
卵のわけがないだろ?
ジュンペイに向かってそう返すと…
さっきまで、岩の間を歩き回っていた颯太が…
「ねぇ、裕太、これを見て」
やはり話しかけてきた。
「なに?」
まさか本当に、何か見つけたのか?
グルリと裕太が方向転換をすると…
「ほら、これ」
足元の岩を、指差す。
見た感じは、どれも同じ岩のようだが…
あろうことか、半分にパかッと割れて、空っぽの中身を
見せている。
「えっ?これは…ホンモノなのか?」
「やはり…ダチョウの卵だったのか?」
どこで聞きつけているのだろう?
さすがに裕太は、ポカンとする。
「なっ!ウソじゃあないだろ」
なぜかジュンペイが、ひどく嬉しそうな顔をする。