だがジュンペイは、オジサンたちには目もくれず、スルリと穴の奥に
身体をすべり込ませる。
「あっ、ちょっと待ってよ」
裕太はあわてて追いかける。
まるで勢いよく滑り台に飛び込むように、ジュンペイはヒョイッと
身を躍らせた。
(コイツ…まったくみんなの様子なんか、全然気にしちゃあいないな!)
ジュンペイのスタンドプレイは、時によかったり、ありがたかったりするけれど、
たまについていけないな、とげんなりするのだ。
それでもオジサンたちは、何が起こったのか、瞬時に気付き、裕太と目を合わせる。
裕太も思い切って、ジュンペイの後を追って、その穴に飛び込むと…
先ほどチラリと見た、見事な空間が、目の前に現れた。
「うわっ、これは何なんだ?」
その場に固まって見ているジュンペイの傍らに、裕太も並ぶ。
内心裕太だって、かなり動揺している。
だってそれは、今までに見たこともない光景だったからだ。
ほら穴の向こうには、ゆったりと大きなスペースがあり、その空間を埋めるように
おびただしい数の彫像が、ズラリと並んでいた。
それは金や青銅のものも混ざっており、かなりの迫力だ。
「うわ~なんだ、これ?」
自分が発見した、という喜びで、すっかり上機嫌のジュンペイが、
はしゃぎながら、その周りを走り回る。
1つ1つの像は、結構大きくて、裕太などすっぽりと隠れるくらいの
大きさだ。
裕太もおそるおそるジュンペイに近付くと、思わずため息をもらした。
まさかこんなところにあるなんて…思いもしなかった!
「うわーい、やったぞ!」
ジュンペイが、手放しで踊り狂っている。
これが本物か、とか
価値がどれくらいなのだろう…ということなんて、まったく気にならない。
それよりも…誰も知らないものを、見つけた、ということに、
子供たちの興奮が否が応でも、盛り上がるのだった。

