「え~っ、ウソだろ」
こんなトコを、上れっていうのか?
「ウソじゃあないよ」
まったく平気な顔をして、ジュンペイはひょいひょいと上って
行くけれど…
「ボクには…無理だなぁ」
さすがにこれは、ハードルが高すぎる。
颯太が代わりに口を開く。
「あっ、ソウタ、大丈夫か?」
裕太が颯太の方を向く。
「裕太たちだけで、行って」
珍しく颯太が、あっさりと引き下がる。
颯太がためらっている間にも、ジュンペイがスルスルと
岩場を上って行く。
まるでその手のプロみたいだ。
そう思いながらも、何を言ってるんだ、と裕太は思う。
(スゴイなぁ~アイツ、やっぱり…前世はサルだったんだ)
裕太が感心していると…パッと颯太と目が合う。
「大丈夫よ、大丈夫~!」
少なくとも、増えることはないと思う。
かく言う裕太だって、まったく自信がないのだ。
「そんなに、怖い顔をしないで。
大丈夫だよ、必ず上の方が見えるから」
何とか裕太を元気づけよう…とジュンペイがごく近くに、
ストンと腰を下ろす。
「これって…何の真似?
まさか、これって、アートなんだろうか?」
そんなことを言っていたら、目に入るものすべてが、裕太
にとって、アートに見えることだろう。

