「アキちゃん、とにかく逃げよう」
ショータに背中を押されて、仕方なくアキは走り出す。
だがすぐに、クルリと後ろを振り返る。
例の男性がしゃがみ込んで、白いツボの破片を拾っているのだ。
「オジサン!逃げよう。
そんなのは、後で…拾えばいいから!」
焦った口調で、ユウジが話しかける。
「ダメだ。
また後回しにしたら、一生後悔する」
だが彼は、かたくなにしゃがみ込んでいる。
「わかった」
腹をくくったのか、アキもオジサンの隣にしゃがみ込む。
「えっ?なんで?
キミたちは逃げろ」
さすがに男性は戸惑って、傍らに座るアキに声をかける。
「だって…これって、ガブくんなんでしょ?
だったら…見棄てるわけには、いかないでしょ」
要は、生きているか、死んでいるかの違いでしょ?
パッとショータの手を振りほどくと、オジサンと一緒になって、
白いツボの破片と、白い粉状になったものを、拾い上げる。
「バカだなぁ」
呆れたように、男性が言うけれど、内心はそうではなさそうだ。
「すまない」
そうつぶやくと、アキに向かって、ペコリと頭を下げる。
「別に…
私だって、これがケイタなら、迷わず拾うと思うから」
アキがキッパリと言い切る。
「アキちゃん…」
カガリもピタリと、アキの隣を陣取ると、
「だったらみんなで、ササッと拾っちゃおう」
明るくそう言った。

