「いや、違うの!そうじゃなくて…
私たち、どうしても探したい人がいるのよ」
ピシャリと、アキが強い口調で言い返すと、男性はその勢いに
驚いて、口を閉ざす。
「それは…後では、ダメなのか?」
自分たちの身も危ないんだぞ、とすぐにアキの腕をグィッと引く。
「あっ」
その時ツルンと、例の疑惑の白いツボが、男性の手からすべり落ちる。
「あっ」
さすがにあわてて、男性はツボを拾おうとするけれど…
まっすぐに、地面にたたきつけられる。
「あっ!」
火事のことも、ツボのことも、一瞬アキの中では真っ白に
かすんでしまう。
(この人って…やっぱり、あのオジサン?)
ムクムクと、疑惑が大きくなっていく。
「おい!何をしているんだ?
火がこっちに来るぞぉ」
駆け付けて来た大人たちが、子供たちに向かって、突進してくる。
「えっ?火が?」
どこに?と思う間もなく、熱風が彼女たちの頬に吹き付ける。
「あっ」
森の奥からたけだけしい黒い煙が、新たな犠牲者を見つけた
ように、こちらに向かって近付いてくる。
「ほら、アキちゃん、早く!」
オジサンのツボの中身を確認する間もなく、アキはカガリに、
グィッと手を引っ張られる。
「う、うん…」
ようやく我に返って、アキはカガリの手を握る。
熱い空気が、すぐ近くにまで、迫ってきていた。

