「えっ?なになに?」

 すぐに颯太が、裕太の隣に来て、その正体を見きわめようと

している。

「あれ」

裕太がまっすぐに、山の頂上を指し示す。

「えっ、なに?」

颯太は目を細めて、裕太の指先の示す方向に、視線を向ける。

「何か、見えるだろ」

なぜか裕太は、声をひそめて、颯太に向かってささやく。

「なんだろう?」

確かに山のてっぺんに、何かが立っているように見える。

「まさか、展望台とかじゃあないよな」

「それは、そうだろ」

何しろここには、人が住んでいないはずなのだ。

「だったら、なに?」

「神社とか?」

「人がいないのに…なんのために?」

さすがに、そこまでは裕太にもわからない。

「ねぇ、ジュンペイは、どこに行った?」

「さぁねぇ」

すっかりその姿は、どこかに見えなくなってしまっていた。

「きっと…あの近くにいるんじゃない?」

がっかりする裕太に向かって、颯太は励ますように言う。

 

「そうかなぁ」

「きっと、そうだよ」

 まるきり行先が見えないよりは、こっちの方が数倍もマシだ…

ガゼンやる気がわいてくる。

「ジュンペイのヤツ…少しは、待っててくれてもいいのに」

思わず裕太は、大きくため息をついてボヤく。

「きっと、一番乗りをして、待っているよ」

颯太がニコニコしながら言う。

「あっ、それって、ありそう…」

何しろジュンペイは、負けず嫌いだ。

裕太たちよりも遅く着くのは、プライドが許さないのだろう。

 

 

 

 

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