例のお守りという黒い石は、今のところ、何の役にも立って
いないようだ。
せめて、ナビの機能があるとか、これからの道筋を教えてくれる
とか、何か役に立ちそうなところは、今のところは何も見受け
られない。
「え~っ、それって、ホントにただのお守り?」
空を飛ぶとか、
光が出るとか、
何か変化が起きないか…と、実はひそかに期待していたのだが…
「期待外れだなぁ」
思わずポツンと、裕太がつぶやく。
「焦らない、焦らない」
颯太が裕太を、なだめるように言う。
「こういうのは、焦ってもダメだよ。
そのうち…見えてくるさ」
やけにのんびりとした口調で、颯太はにこやかに話し掛ける。
「そうなのかなぁ」
裕太は焦りがつのるばかりで、とてもそんな風に落ち着いては
いられないのだが…
(ジュンペイは、どうしてる?)
ふいに気になって、後ろを振り返るけれど…
相変わらずジュンペイは、何かに夢中になっていて、さっきから
ずぅっと、海の上をにらみつけている。
「何しているんだよぉ」
珍しくジュンペイがおとなしいので、かえって裕太は気になって
仕方がない。
ジュンペイは「あれ!」と下を指し示す。
「あそこ!何かが、飛んでる!」
「えっ?」
「何かって、なに?」
裕太と颯太は、ジュンペイが何を見ているのかが気になって、
竜に身体を押し付けて、下をのぞき込む。

