「何でって?何でって…この人が、一番簡単そうだったから」
悪びれることなく、鏡の中の女の子はそう言う。
「カンタン?」
もしもこれを、帽子屋が聞いていたら、とてつもなく怒るだろうな、
とアキは思う。
「だって、この人…あまりにも子供みたいに、ハチャメチャなんだもの…」
クスクスと、女の子が笑う。
「それはそうねぇ」
思わず、アキとカガリも顔を見合わせる。
「だけどこの人、突然暴れ出したりするから、結構ヤッカイよ」
ニコニコして、アリスが会話に割り込んでくる。
「そうなの?」
確かに自分たちよりも、アリスの方がよく知っていそうだ。
アキとカガリは、同情のまなざしをアリスに向ける。
「でもね!とっても愉快で、優しい人なのよ」
すぐにかばうように、アリスが言うので、そんなに気を使わなくても
いいのに…と、アキはそう思う。
おかしなものだ…
外見は帽子屋なのに、その人のことをこうして話しているなんて。
(もしも本人に聞かれたら、どうしよう?)
だけど案外、面白がって笑ってくれそうな気がする。
「さぁ~あなたたちに、いいものを見せてあげる」
相変わらず女の子の口調で、帽子屋が帽子屋がそう言うと、スタスタと
歩き始める。
「ねぇ~どこに行くの?」
いくら見た目が帽子屋でも、中身は死神だ。
まさか、ヘンな所へ連れて行かないか…と、カガリは気にしている。
「ねぇ~ワナじゃあないかなぁ」
コソッと、ルークにささやく。
「まぁ、その時は、この剣が役に立つだろ」
案外平然と、そう答える。

