「こっちだ」
ルークが先頭に立って、二人を案内する。
周りにある緑色のツルが、風もないのに、サワサワと揺れる。
どこかから、小さな声で
「どうする?」
「どうする?」
複数のささやき声が聞こえてくる。
(誰がしゃべっているの?)
アキは気になるけれど、誰もが無言で歩いているので、あえて
口に出したりはしない。
(きっと…魔物の仲間なんだわ)
どっちにしても、ケイタではないのは確かだ…
この城には、確実という言葉が存在しないのかもしれない。
アキの頭に、フッとそんなことが思い浮かぶ。
(でも…ルークは少なくとも、私たちよりは、この城のことを
知っているんだ…)
信じるしかない…
そう、自分に言い聞かせる。
「大丈夫、大丈夫」
自分たち以外には、信じる者が何もない…
アキは、気持ちがくじけるけれども。
それも全部、ケイタを助けるため…
みんなで無事に、ここから脱出するためなんだ…と、アキは心に決める。
あの男の子は、何をしているのだろう?
急に気になって、アキは振り返る。
だが、いつの間にか、男の子の姿がかき消えている。
「ねぇ、カガリちゃん、あの子がいないわ」
小声でささやく。
だがカガリは、アキを励ますように、ニッコリと笑うと
「きっと、しなくちゃいけないことを、しているんだわ」
アキに向かって、言い聞かせるように言う。

