「何をしている?さっさと行くぞ」
ルークが焦れたように、二人を待ちかまえている。
「わかったわ」
アキもカガリも、やはり男の子のことが気にかかるけれど、
仕方なく背を向ける。
男の子は、黒い石の表面をソッと撫でる。
そこにはないか、文字が刻まれているようなのだが…
二人には、その文字を読み取ることが出来ない。
「あの子って…まさか、迷子なのかなぁ」
ボソッと、アキがつぶやく。
「えっ?」
でもあの子…そんなことは、言っていなかったような気がする。
アキはチラリと後ろを振り返ると、
「ケイタも、あんな風に迷っているのかなぁ。それとも…」
ふいにアキは、眉を曇らせる。
「大丈夫よ」
カガリはアキの肩に、手を触れる。
「きっとどこかで…私たちが来るのを、待っているわよ」
だがアキは、素直に信じることが出来ない。
「でも…さっきみたいに…魔物に心を操られているかも
しれないし…」
あの時のケイタの冷たい目が、今もアキは忘れることが出来ない。
こうしている間にも、ケイタは私たちのことなど、忘れているの
ではないか?
そんなことを考えていると…アキは胸がつぶれるような悲しさを
感じる。
「何、弱気なことを言っているのよ!
私たち…ケイタを助けるために、こうして頑張っているんでしょ」
カガリが、アキをなだめるように言う。
アキはまだ…心配で、胸が一杯だったけれども。
「そうよねぇ、きっとそうよ」
これ以上、カガリに心配かけてはいけない、とアキは無理に
笑ってみせる。

