「だけど裕太のためだったら、厳しくしてもらった方がいいんです」
母さんはキッパリとした口調で言い切る。
心底驚いた…という顔をすると、先生は裕太の顔をチラリと見る。
「だったら…一つ、お願いがあるんですけど、いいですか?」
にこやかな表情を浮かべて、先生は母さんの方を向く。
「なんでしょう?」
母さんはまだ、何も疑ってはいない様子だ。
裕太はハラハラと、見守っている。
「ぜひ、裕太君を、こちらに貸してもらえないでしょうか」
先生はペコッと、深く頭を下げる。
この時初めて、母さんは困った顔をした。
(えっ?まさか、先生…母さんを説得してくれているの?)
意外なものを見るような気分で、思わず裕太は、声をもらしそうに
なる。
母さんのことを、あんな神妙な顔にするなんて…
そのこと自体も、裕太にとっては、信じられない奇跡のような
出来後だ。
「えっ、いや、うちの子は…そんな大したことは、出来ない
んですよ」
さすがにどうするか、迷っているようで、母さんは身動き一つせず、じぃっと
先生に視線を向ける。
「いや、そんなことはないです。
ユウタくんは、とってもカンが鋭い…
これはとても、素晴らしいことなんです」
「なんだ、そんなこと」
母さんは、鼻で笑う。
「いや、これって…冒険家にとっては、とても大切な資質なんです」
先生は母さんに向かって、熱く語る。

