まるで夢を見ているみたいだ!
あんなに会いたかった二人が、こうして会いに来てくれるなんて。
裕太が、颯太に話しかけようとすると、
「ユウタ!早く案内してあげなさい」
早速母さんの雷が落ちた。
「あ~あ」
颯太がうれしそうに、ニヤニヤと笑う。
「さぁ~ユウタくん!それじゃあ、案内してくれるかな?」
先生は、ちょっとふざけた顔をして、裕太に声をかけた。
裕太が先生の荷物に、手をかけると
「いや、これは重たいから、大丈夫だよ」
すかさずその手を、押しとどめる。
「ありがとう」
それでもニコニコしながら、先生は裕太の顔を見る。
「ところで、この辺は、旅館とか、ホテルがあんまりないのか?」
先生の質問に、裕太はうーんと考え込む。
「大体普通の家に泊まる場合が多いかも。
何しろ、あんまり外の人が来ないからねぇ」
そう言いながらも、そういえな用務員のオジサンを、一度だけ
見かけたことがあるのを思い出した。
「まぁ、そうなるだろうなぁ」
先生はそれ以上、深く詮索しようとはしない。
ここは、有名な観光地のように、人が来るような場所ではないからだ。
時々珍しい地形を見に、訪れる人がたまにあるくらいだ。
「ソウタくんは、ここに泊まるんだろ?」
代わりに颯太の荷物を半分持つと、先生は機嫌よく颯太に話しかける。
「はい」
「もちろんです」
裕太と颯太の声が重なる。
ははは!
先生は楽しそうに笑うと、
「相変わらずキミたち、仲がいいんだな」
ニコニコしながら、裕太の後をついていく。