「ケイタ…あそこで、何をしていたんだろう?」

 ふとアキは、ケイタのしゃがみ込んでいた場所を、あらためて

探る。

すると…何か、床を引っかいたような跡がある。

もちろん、ケイタがしたとは限らないけれど…

だったら、これはなんだ?

「ねぇ、カガリちゃん、これ」

アキは、カガリを振り向く。

「なに?」

「これ、何だと思う?」

字のような…記号のようなものを、指し示す。

「えっ、なに?」

カガリはアキの傍らから、のぞき込む。

「これ」

ストンとしゃがみ込むと、その引っかき傷のようなものを示す。

「ただの、こすった跡じゃあないの?」

 カガリは、さして気にならないけれど…

「絵かなぁ?鳥?つばめ?」

だがアキは、スゥッとその線を指でたどる。

「えっ」

カガリはようやく、アキの指先をたどる。

「羽?」

ボンヤリと、そのラインの眺めながら、カガリはポツンとつぶやく。

 

「そういえば…オジサンが、何か言ってたよねぇ」

 ずっと頭の隅っこに、引っかかっていた言葉だ。

「あぁ~翼のあるものに、気をつけろってやつ?」

カガリもポンと口にする。

「そうそう、それ!」

ピンと指先で、その絵をはじいた。

 

 

 

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