「で、先生たちは、いつ来るの?」
翌日の朝、いきなり母さんが裕太に向かって聞く。
「えっ?」
まだ寝ぼけ眼で、食パンをかじっていた裕太は、思わずパンがのどに
つっかえそうになる。
「ちょっと、落ち着いて牛乳を飲みなさいよ」
トンと、グラスを目の前に置く。
まさか本当に…じいちゃんが、何かしてくれたのか?
正直、あまり期待してなかった…というか、忘れていたので…
裕太は思わず、ブッと吹きそうになる。
「ちょっとぉ~」
何を、そんなに驚いているのよぉ~
母さんは、けっこう機嫌がよさそうだ。
「ねぇ~いつ来るの?」
さっさとしなさいよ、と言わんばかりに、テーブルの上を拭く。
「あっ…」
マズイ!
母さんの気が変わってしまったら、コトだ!
「そのうち、颯太から連絡が来るから」
裕太はあわてて、オレンジジュースで流し込むと、
「そっ」
すでに興味を失ったように、母さんはそっけなく答える。
「それなら…きれいにしなくちゃね」
裕太に向かって、ポンと声をかける。
「えっ、いいの?」
思わず、大きな声を上げると…
「早くしないと、遅刻するわよ」
顔をしかめて、母さんは裕太の背中をたたく。
だが…そんなことは気にならない。
「ホントに、いいの?」
万歳を叫びたいくらいだ。
「いいから、早く行きなさい。
ジュンペイくんが、玄関で待っているわよ」
「うん」
あわてて、残りのパンを、牛乳で流し込むと、裕太はあわてて
玄関に向かう。
「そんなにあわてたら、吐いちゃうわよ」
母さんの声が、背中に響く。
裕太は「よしっ」と小さくガッツポーズをすると、靴の側に置いてある
ランドセルを背中に背負った。