「やめて!ケイタよ!殺さないで」
だがアキは、ルークを止めようと立ちはだかる。
「目を覚ませ!
あれは…キミの友達じゃあない」
剣のサヤで、コンとアキを小突くと、ルークは
「どけ!」と叫ぶ。
「ダメよ!ケイタはケイタよ!殺さないで」
アキが叫ぶ。
キャー!!
両手を頬にあてて、カガリが悲鳴を上げる。
ザッ!
ケイタの爪が、アキの背中をざっくりと切り裂く。
アキはそれでも、ルークの前で、両手を広げて切らせまい…と、
大きく手を広げる。
「キミは…ホントに、バカだなぁ」
ルークがはぁ~とため息をつくと、
ヒュン!
ケイタに向かって、何かを投げつける。
「伏せろ!」
すぐさまルークが、一同に叫ぶ。
ゼペットさんが、アキに飛びかかると…
見た目にそぐわないくらい強い力で、アキをケイタから引っ剥がすと…
パッと床に倒れ込んだ。
ポン!
白い煙が、辺りを包み込む。
「目を閉じて、鼻を覆うんだ」
冷静な声で、ゼペットさんが一同に向かって、命じる。
パッとその場に、しゃがみ込むと…
煙がおさまるまで、じぃっと体を縮めた。
「えっ?なに?」
「火事だぁ~」
帽子屋のひと声に、アキとカガリは、身を縮こませる。
「大丈夫、あれはただの煙幕だ…
ケイタくんは、今、眠らせている」
いつの間にか、ルークは足を自分の肩に引っかけるようにして、
逆さまに抱きかかえた。