「なんでだよぉ」
ヤブヘビだ。
母さんに、言わなきゃあ、よかった!
たちまち裕太は、後悔する。
「前から、考えていたことよ。
あんたは昔っから、危ない所へ飛び込んで行くでしょ?
とにかく…先生が来ても、ダメなものは、ダメ!
先生にちゃんと、そう伝えなさいよ」
取り付く島もないというのは、まさにこのことだ。
母さんはキッパリとそう言い切ると、話はこれでオシマイ…
とばかりに、裕太に背を向けた。
なんなんだよ、一体!
何も言い返せなかった自分が悔しくて…裕太はバン!と乱暴に
ドアを閉める。
前々から母さんは、ボクの言うことなんて、ろくに聞いてくれなかった
のだけれど…
「絶対に、横暴だ!」
大人なんて、ズルイ!
思わず、声に出して言う。
「ははぁ~綾女に、何か言われたのか?」
ひょいっと、じいちゃんが扉のすき間から、顔をのぞかせる。
「なんだよぉ~盗み聞き、してたのか?」
すっかり不機嫌になっている裕太は、じいちゃんに向かって、
思い切りムッとした顔を見せる。
「そりゃあ、大事な孫が、綾女にガミガミ言われてたら、気になるよなぁ」
穏やかな声で、裕太に向かって言う。
「ねぇ~じいちゃん。竜の社って、ホントに竜が住んでいるの?」
ふと、じいちゃんに聞きたいと思っていたことを、思い出す。
「どうした?あそこに…行ったのか?」
じいちゃんは、さして驚く様子もなく、穏やかな微笑みを浮かべる。
(12時過ぎたあたりから、雨が激しくなってきました。
九州~山口にかけて、線状降水帯が発生するようです。
気を付けて、お休みくださいね)