だが、裕太には大きな壁がある。

それは…母さんだ。

「ダメです」

さっきから、ずっとダメですの一本やり。

先生が、会いに来ると言っても、

「わざわざ来てもらっても、時間の無駄」

パシッと、ひと言で切り捨てる。

「え~っ、ソウタも来るのに」

「あの子はもっと、しっかりした子だと思っていたのにねぇ」

 ガッカリだわ~

はぁ~とため息をもらす。

 母さんは普段、裕太のすることは、見て見ぬふりをしてくれる。

だが…こと、冒険に関しては

「何を言っても、ダメ!

 ダメと言ったら、ダメ!

 絶対にダメです」

まったく意見を、変えようとはしない。

それはきっと、市長さんや校長先生が来ても、首を縦には振らない

だろう。

もちろん、そんなことは、100パーセントないだろうけれど。

 

「ソウタ君が来るのは、別にいいわ。

 でも…裕太がなんで、そんな危険な目に合わないといけないの?」

 いくら言っても、そうなる、と信じているようだ。

裕太はまだ、無人島に行きたい…などとは、ひと言も口に出しては

いないのに…

瞬殺で、バレてしまったようだ。

「なんで?」

思わずムッとした口調で、母さんに聞くけれど…

「私は、ユウタの母親よ。

 あんたの考えていることなんて、すぐにわかるわ」

まるで超能力者か、マジシャンのように、自信満々にズバリと

言ってのける。

「あんたも、少しはソウタ君のことを見習って、塾にでも行く?」

「え~っ、なんで、そうなるんだよぉ」

裕太がもっと嫌っていることを、平気で言ってのけた。
 

 

 

 

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