「ねぇ~試しに、そのカギをあててみたら?」
カガリが、ルークに向かって言う。
「鍵穴なんて、どこにもないだろ」
帽子屋が、今度こそ、取られまい…とばかりに、帽子を押さえたまま、
キーキー声で騒ぐ。
だがルークは無言で、声のした辺りに、カギをあててみせる。
すると…小さなカギ穴が、姿を見せた。
「えっ」
「うそっ」
「どんな魔法を使ったんだ?」
アキとカガリと帽子屋が、声を上げる。
だがルークは、まったく表情を変えることなく、その穴にカギを
差し込み、自転車のロック解除の要領で、カチンと下に押し込む。
すると…カチャンと、小気味のいい小さな音を立てた。
「えっ」
「あいた?」
たちまち三人が、鈴なりになって、ルークの周りを取り囲む。
「ちょっと…もう少し開けてくれ」
ルークは手元を向いたまま、彼らにそう言うと、三人は素直に従う。
「きっと…地下牢だぞ」
言った通りだろ、と帽子屋は得意そうに、アキとカガリに向かって言う。
「え~っ、隠し部屋でしょ?」
帽子屋のことを無視して、ピーターまで弾んだ声を出す。
「シ~ッ!静かに」
ルークは一同に注意をすると、慎重にその床板を開けようとする。
指先が、スッとすき間に入ると、床板が簡単にパカッと外れた。