「ヤダなぁ~」
ははは、とオジサンは愛想笑いを浮かべる。
「だったら、オジサン…探し物は見つかったの?」
挑むようにして、アキはジロリと、オジサンをにらみつける。
「探し物?」
彼は一瞬、真顔になると、アキとカガリに視線を向ける。
「あぁ~見つかったよ、おかげさまで!」
はっ…
カガリが顔をほころばせ、
「よかったですね」と話しかけようとする。
アキは「しっ」と唇に指をあてる。
「へぇ~どこで見つけたの?」
堂々とした態度で、腰に手を当てると、アキはオジサンを
見詰める。
そんなアキの意図に気付いていないのか、
「あぁ~この部屋で見つけたよ」
淡々と答える。
「へぇ~どの辺りで?」
だがアキは、さらに食い下がって、じぃっとオジサンの目を
とらえる。
「どの辺りって…窓の辺りかなぁ」
それまで、スラスラと答えていたオジサンが、ほんの一瞬
口ごもる。
「へぇ~じゃあ本当に、見つかったんだ。
どれ?見せて」
アキは答えがわかっているのか、スッと左手を差し出す。
それを目にすると、ようやくオジサンは、自分が間違えた
ことに気が付いたのか、けげんな顔つきになる。
「いや、それは…」
何かがおかしい、と感じたらしい。
オジサンの目に、イラついた光が宿る。
「ねぇ、見つけたんでしょ?見せてよ」
しつこく食い下がるアキに、
「うるさいなぁ」
オジサンの態度が、豹変した。