「まぁ、まぁ、そんなことより…キミたちは何をしに、ここに

 来たんだ?」

 自分の周りを、グルグルと小さな魔のものが、飛び回っていると

いうのに…オジサンは、平然としてそう尋ねる。

「えっ、オジサン…大丈夫?」

「平気なの?」

「それとも…何者かに、すでに乗っ取られているとか?」

アキとカガリに混じって、帽子屋が顔をピョコッと突き出す。

 

「あっ」

「ちょっと」

「何を言っているの」

 帽子屋さんは、すこし静かにして!

アキはジロリと、帽子屋をにらみつける。

オジサンはじぃっと、帽子屋を見上げると

「なんだ?この…トンチキな帽子をかぶっているヤツは!」

 さすがにムッとした顔で、帽子屋をジロリとにらむ。

だが帽子屋は、それを褒め言葉と受け取ったようで、深くお辞儀を

すると…

「これは、これは、ミスター。

 失礼をばいたしました。

 私は、世界一と呼び声も高い、帽子屋でございます」

 ふざけているのか、というくらい、優雅な仕草で頭を下げると、

ヒラヒラと自分の帽子を振ると、うやうやしい態度で、

それを胸に当てる。

「あんた…何をしに、ここに来たんだ?

 御覧の通り、こちらは身動きが取れないんだ…」

とげとげしく、オジサンが帽子屋に向かって言い放つ。

「あぁ~このことね?」

羽虫のような、小さな魔物をチラリと見ると…

ヒラヒラと帽子を振って、何とその魔物を追いかけ始めた。

 

 

 

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