「だってねぇ、あそこは、潮の速さを読むのが、とっても難しいんだって。
先生の先生に誘われて…調査に行くらしいよ」
「へぇ~」
それでも裕太は、行きたいという気持ちを抑えられない。
「だけど…大変なんでしょ?」
ドキドキしながら、そう言ってみる。
何とか自分も、連れて行ってもらえないだろうか…と、そればかり
考えている。
「だから、準備が大変らしいよ。
場合によっては、取りやめになるかもしれないし…」
淡々と話す颯太の声に、彼はどう思っているのだろう…と思う。
「ずいぶん、詳しいんだなぁ」
(もしかして、ソウタも…行きたいんじゃあないのか?)
ふとそう感じる。
「だって、センセイがそう言ったんだぞ」
自分のことのように、得意気にそう言う颯太に、裕太は少し
焼きもちを焼く。
「いいなぁ~」
ただただ、ため息ばかりだ。
「あっ」
いきなり颯太が、
「忘れるところだった…」と口調をあらためる。
「先生からの伝言!
一度ゆっくりと、あの地図を手に入れた時の話を、聞きたい
んだって」
「えっ」
裕太はためらう。
まさか、竜のホコラで見つけました…だなんて、とても先生には
言えない。
「先生に、笑われちゃうかも…」
ためらいがちに、そう言う。
「えっ。多少の失敗くらい、先生は笑ったりしないよぉ」
なんせ、相手は裕太なんだから。
どうやら颯太は、勘違いしているようだ。

