(うわっ!このままだと…無理やり奪われてしまいそうだぞ)

 にじり寄って来るジュンペイを見て、さすがの裕太も観念する。

「わかった、わかったよぉ。

 ちょっと、待って」

もう一刻の猶予も、待てない…とばかりに、鼻先がくっつきそうなくらいに

ジュンペイが詰め寄る。

あ~あ!

裕太は、大きくため息をつく。

仕方がないなぁ~

ポソリとつぶやくと、クルリとジュンペイの方を振り向く。

「だけど…見るだけだぞ。

 触るのは、なし。絶対だぞ!」

ジュンペイの顏の前に、人差し指でピシッと指差すと、キッパリと言い切る。

「あぁ~それは、もちろんだ。約束する」

舌なめずりをしそうな勢いで、ジュンペイが「ありがとう!」と叫ぶと、

にぃっと、裕太の顏をのぞき込んだ。

 

(ホント、調子がいいんだから!)

 しぶしぶ裕太は、その手を開く。

気付かないうちに、ギュッと力をこめて、握りしめていたのだろう…

裕太の指先が、白くなっている。

 

「なに、なに?

 もったいぶらずに、早く見せろよぉ」

 じれたように、ジュンペイが、さらに身を乗り出してくる。

「まぁ~待ってくれよ。

 ボクもまだ、見てないんだから」

 だが実の所、裕太もその中身が気になっていた。

(一体リュウタは、何を渡してくれたんだろう?)

裕太はゆっくりと、手のひらを開いた。

 

 

 

 

 

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