冷静になろう、もう一度、見てみるんだ。
裕太はそぅっと、扉の中をのぞき込む。
すると…決して大きくはない、その木の箱の中身は、ガランとしていて、
特に変わったものが見られない。
御神体らしき鏡と、お札のようなものがあるだけだ。
えっ?
「ウソだろう?」
まさか!
「消えた?」
どういうこと?
「そんなこと、あるのか?」
一体、どんなトリックを使った、というのだ?
「おーい、リュウタぁ」
かくれんぼは、おしまいだ。
裕太は、ことさら声を張り上げる。
だが…期待する返事は、返ってこない。
「やっぱり…ユメなのか?」
そんなバカな!
「あんなリアルな夢が、ホントにあるのか?」
確かに、この目で見たんだ!
感覚だって…リュウタに触れた手の触感も、今でもまだ、この手に
残っている。
そもそも、こんな小さな木のホコラの中に、あの身体が吸い込まれて
いくなんて…どう考えたって、ヘンだ。
「マジック?イリュージョン?
どんなトリックを使ったんだ?」
どう考えても、さっぱりわからない。
まるで、キツネに化かされたみたいだ…
しばらく裕太は、呆然としていた。
「おーい、そんなところで、何をしているんだ?」
いきなり裕太の物思いが、打ち切られる。
「何って…ジュンペイのことを、探しに来たに決まっているだろ?」
反射的に、裕太は背中を向けたまま、その相手に返す。
真剣に考えているんだから、邪魔しないでくれよな!
裕太はブツブツと、独り言をつぶやいた。
