(何があるというんだ?)

 裕太の目には、そこまでしていく価値があるとは、到底思えない。

(ジュンペイは…どうしているのだろう?)

裕太の頭には、そんな思いがかすめるけれど…

リュウタが、どこへ向かっているのかが、気になっていた。

なぜそこまで、急いでいるのかも。

 

 これが、ホコラ?

今まで見た中で、一番小さいのかもしれない。

よく見ないと、草に埋もれて、目に入らないだろうなぁ~

裕太はひそかに、そう思う。

(こんな所に来て、どうするつもりなんだ?)

それでも裕太は、黙ってリュウタに付き添って、その古びたホコラに

近付いて行く。

そこまでして行くのだから、どれほどスゴイ所なのだろう?

わずかに期待して、裕太はついて行ったけれど。

「えっ?」

とてもそんな風には見えないくらい、小さく古ぼけた木製のものだ。

「これが?」

思わず裕太は、声に出して言う。

リュウタは、裕太を振り返る。

『そうだよ』

当たり前の答えが、返ってきた。

「そう…」

見た目は地味でも、もしかしたら由緒正しいものなのかもしれない。

裕太は、そう自分に言い聞かせる。

 

「で、どうするの?」

 手伝ってくれ、と言ったからには、何かするのだろう…

と期待して、リュウタに問いかける。

だがリュウタは、スルスル…とホコラの扉に近づくと、

『ここをあけてくれ』

前を向いたまま、じぃっと裕太が動くのを待っている。

 

 

 

 

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