ようやく外の明るさに、目が慣れてきたところで…

裕太は、自分がどこにいるのか確認する。

長い時間、暗い洞窟にいたせいか、まだボーッとしている。

『大丈夫か?』

心配そうな声が、裕太の頭に響く。

「あっ、ユメ?」

一瞬裕太は、自分が夢を見ているのか…と、錯覚する。

『いや、ここは…君たちのよく知っている場所のはずだ』

その言葉を受けて、裕太はゆっくりと、首を巡らせる。

身体は、すっかり乾いていた。

(さっきのあれは…なんだったのだろう?)

ポーンと、上空に投げ出された、と思っていたのだが。

裕太の目の前には、竜がこちらをのぞき込んでいる。

「夢じゃない…」

 やっぱりリュウタと一緒に、ここに来たんだ…

ようやく裕太は実感する。

「じゃあ…ボクは、外に出たの?」

ゆっくりと、身体を起こす。

どこもケガはしていないようだ。

荷物は?

ふいに気が付く。

裕太のリュックは、ポンと自分の傍らに置かれていた。

 

 しばらくは、まだボーッとしていたのだが、すぐに

「そうだ、ジュンペイ!」

ハッと思い出す。

ジュンペイは先に、ここへきているはずだ。

だが…どこにいるのだろう?

「ねぇ、ジュンペイを…ここに連れて来たんでしょ?」

じぃっと自分のことを見守っている、リュウタの大きな目を

向いて聞く。

だが、裕太の期待していた答えは返ってこない。

『いや、この手前で下ろしたよ』

えっ?

裕太は戸惑った。

 

 

 

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