思い切って、裕太は木に登る。

緑色の光の中に、入ってみようと思い立ったからだ。

(あの中に、ジュンペイがいるのなら、きっと大丈夫だ)

何の根拠もなく、そう思う。

まさか…危険な場所ではないか?

チラッと、そんなことも考えたけれども、竜神も待てと言ったけれど…

それでも裕太は、

「このまま、何もしないよりも、マシなんじゃあないのか?」

そう自分に言い訳をして、グイグイと上り続けた。

 

 緑色の炎の中は、少しも暑さを感じない。

てっきり、とんでもないことに、なるのでは…と思っていただけに、

裕太はひとまず、ホッとひと安心だ。

燃えている…というよりは、その木自体が、発光している…という

印象だ。

龍神の言う天の穴とは、どこのことなのか?

何気なく、上を見上げると…裕太は思わず

「あっ!」と声をもらす。

木の先端が、洞窟を突き抜けて、空に向かって伸びているように

見えたからだ。

「えっ?この木って…どこまで伸びているの?」

裕太は、この周辺の地図を、頭に思い浮かべる。

 

 だが、そんなところは、あっただろうか?

残念なことに、まったく思い当たるところがない。

「ということは…この木を上って行けば、何か見つけられる

 かもしれない」

ふと裕太は、そんなことを思った。

 

 

 

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