「へぇ~何にも知らないんだ」

 いきなりメアリーが、アキを見てそう言うと、にぃっと

顔中で笑う。

「えっ」

 何を言っているの?

初めてアキが、このカマ女に恐れを抱く。

「ボスはね、キチンとした人なの!

 ちゃんとしていないと、何をしでかすか、わからないのよ!」

「それって、どういうこと?」

おそるおそる、カガリが尋ねる。

「さぁ?どうかしらねぇ」

メアリーは順繰りに、子供たちを見つめる。

「つまり…それが大切な切り札って、ことなんですね?」

その時ショータが、ピンと背筋を伸ばして、メアリーに挑む。

「あら!」

 ショータの声を耳にすると、メアリーは珍しいものを見る

ように、マジマジとショータを見つめる。

「ふーん、キミは、他の子たちと違って、骨がありそうだねぇ」

まるで舌なめずりをするように、キラリと瞳を輝かせる。

「ぜひ…お手並みを拝見させてもらいたいものだわ!」

大きな声を上げて、天井を見つめる。

 すると、イバラの向こうから、真っ白い何かが、こちら目掛けて

飛んでくるのが見えた。

 

「えっ、なに?」

「鳥?」

「ペガサス?」

 メアリーの視線に気づいて、アキとカガリは、背後を振り返った。

 

 

 

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