まずは足元を確かめると、リュウタに寄りかかるようにして、

竹筒をゆっくりと傾ける。

一滴も無駄にしてはいけない、と、無意識に緊張して、裕太の手が

わずかに震える。

『焦らないで』

リュウタが、裕太を励ますように声をかける。

さすがに、意識のない人に、水を飲ませたことがないので、

うまく出来る自信がない。

『ゆっくり、ゆっくりとだ』

リュウタの声に合わせて、軽く唇を湿らせるように…と、少しずつ

水を垂らしてみる。

ポタ、ポタ、ポタ、ポタ…

一滴ずつ、砂にしみこむように、ジュンペイの唇の上に、

水滴が落ちて行く。

わずかに開いた唇のすき間から、スル…と落ちると、ジュンペイの

のどが、軽く上下するのが見えた。

飲んだ…

裕太はホッと、胸を撫でおろす。

 

 蒼白だったジュンペイの顔色が、徐々に生気を取り戻して

いくように感じた。

「なんだ?この水は!」

 こんなに効き目があるとは、思わなかったので、裕太は思わず

驚きの声をもらす。

『見ての通り、これが命の水だ』

満足そうな、リュウタの声が聞こえる。

『どのくらい、飲ませたらいいの?」

一応確認だ、と裕太は聞いてみる。

だがそれを無視するように、

『じゃあ今度は、ジュンペイの心臓の辺りに、かけてみて』

リュウタの声が、聞こえる。

「えっ」

裕太はその手を止めると、

「でも…服を着ているよ。

 このままだと、濡れてしまうよ」

どうするんだ、とリュウタの目を見つめた。

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ノンジャンル小説へ