行きとは違い、戻る道は心持ち明るく感じる。

きっと、気持ちの問題なのだろう。

早く戻らなくては!

ジュンペイに、この水を飲まさないと!

だけど、どうやって飲ませたらいいのだろう…

そればかりを考えながら、帰りを急いだ。

あの竜は、何だったのか、とか…

何で水が出てきたのか、とか…

説明のつかないことが、たくさんあるのに、今はまるで

気にならない。

とにかく早く、ジュンペイを治して、一緒に家に帰るんだ!

グルグルと同じことを、繰り返し考えていた。

もしかして、これがニゼモノだとか、

まさか効き目がなくて、ジュンペイがもとに戻らない、とか…

そんなことは一切、裕太の頭には、思い浮かばなかった。

 

 次第に、歩く歩幅が小走りになる。

(いけない!気を付けないと、せっかく取って来た水が、

 こぼれてしまう…)

そう思うのに、気持ちがはやって、知らず知らずに、スピードが

早くなるのだ。

ジュンペイは、大丈夫だろうか?

リュウタはちゃんと、見ていてくれているのだろうか?

そんなことを思っているうちに、あっという間に、さっきまでいた

場所が、見えて来た。

 

 

 

 

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