赤い目の竜は、目がピカピカして、まるでロボットのように見える。
(今にも、動き出しそうだなぁ)
本物のようだ…
こわごわと見ながらも、台の周りをグルリと回る。
小さな台の周りには、くぼみがあり、それが何のためにあるのか、
まったくわからない。
「鍵があるとか?
それとも、どこかの入り口があるとか?」
だけどあの龍神は、そんなことは言っていなかった…と思う。
「これ…竜のホコラじゃあないのかなぁ?」
もしかしたら、別の場所なのか?
それらしきものが見当たらず、裕太がガッカリしていると…
やけにこの竜の目が、気になる。
「まさか…触ったら、出てきたりして」
ははは…
自分のひとり言を笑い飛ばし、試しに…と軽く、手を触れる。
冷たい石の感触が、指先に伝わる。
これも…石なのか?
そんなことを思っていると、カチリと音がする。
「えっ、なに?」
驚いて、手を放す。
まさか、あの赤い石が取れたのか?
ヤバイと思って、あわてて見る。
わずかに竜の口が、開いているように見える。
「あれ?竜の口って、開いていたっけ?」
今さらのように、竜の口をのぞき込む。
なぜか、何かの音が聞こえる。
まるで滝つぼの中にいるみたいな、激しい水の音だ。
「えっ、まさか?」
急いでひょいっと、脇にずれる。
「あっ、あぁ!」
大きく開いた口から、勢いよく水が噴き出していた。