ファークション!
大量の金粉を浴びて、帽子屋は大きくクシャミをする。
「なんだって!おまえこそ…ピーターの金魚のフンじゃあないかぁ」
ティンカーベルをはたき落とそう…と、帽子屋はブンブンと
手を大きく振りまわす。
「うるさい、うるさい!
とにかく…私はもう抜ける!いい加減にしてくれ」
そう言い捨てると、クルリと背を向ける。
「帽子屋さん!」
「勝手なことは、許さないぞ」
アリスとピーターが、揃って声を上げる。
「あんたたちも、早く見切りをつけるんだな」
そう言い捨てると、帽子屋はズンズンと、もと来た道を後戻り
しようとする。
だが…いきなり前方から、緑色の物体が帽子屋目掛けて、
ズルズルと伸びてくる。
「なぁに、あれ!」
「ヘビ?」
アキとカガリは、壁に張り付いて、木の根っこのようなものを
避ける。
「なんだ?あれは」
「ツルか?」
ナイトとルークも、異変に気付き、すぐにアキたちの側に
駆けつける。
帽子屋は、まだその物体には、気が付いてはいない。
いち抜けた~とばかりに、のしのしと玄関に向かって、歩いて
行く。
するズルズル…と、その太い何物かが、グングンと伸びて
行くと、まっすぐに帽子屋目掛けて、突進していく。
「帽子屋さん!」
アキが思わず、声を張り上げる。
だが帽子屋は、足を止めることなく、
「私を止めようとしても、ムダだ!」
ひと声叫ぶと、まだ何も気づかずに、ズンズン出口に向かって
進んで行った。