確かになんだか…前の方が明るい。
裕太は闇を透かすようにして、前方に視線を向ける。
「こんなところ…あったっけ?」
どの辺りまで歩いて来たのか、まったくわからない。
さらには、本当にここを通って来たのかさえ、はっきりとは
しないのだ。
「まさか…ここ?」
なけなしの元気を振り絞り、裕太は足を引きずるようにして、
その光の方へと、歩を進める。
岩肌には、キラキラと光る石も混じっていて、それが懐中電灯の明かりに
反射して、光っているのだ。
さらには、さっきまで靴底に当たっていた岩も、前よりは歩きやすく
なってきたような気がする。
「もしかして…ここなのか?」
裕太は持っていた懐中電灯を、洞窟の壁全体にグルリと当ててみる。
だが…何となく違う、と感じるだけで、まだ確信は持てないのだ。
半信半疑で、それでも裕太は近づく。
それは…洞窟の半分ほど戻ってきたところ(もちろん、裕太の感覚だ)
にあった。
てっきり、大きな祭壇があって、いかにも竜の神様をまつっている
ような立派なものだろう…と、裕太は勝手に思い込んでいた。
だが、そういう意味では、特にこれといって、決め手になるような
ものは見当たらない。
ただ…いかにもなものがない代わりに、まるでラメをまぶしたように、
その一帯が、キラキラと光輝いている。