「何よ、あの猫!」
「思わせぶりよね!」
天井に向かって、アキは全力でアッカンベーをする。
「ねぇ~シリトリでもしようか?
それとも、歌でも歌う?」
アキは不安を吹き飛ばそうとするように、わざと明るい声で、
一同に向かって話しかける。
「おいおい!社会見学に行くんじゃあないんだぞ」
またも帽子屋が、顔をしかめる。
「なによぉ~」
つまんないわねぇ。
アリスが不満そうに、口をとがらせる。
またも、険悪な空気が流れる。
「あ~っ!」
何とか空気を変えようと、アキはクルリと、ショータを
振り返る。
「ねぇ、このお城って…前からあったと思う?」
いきなり、そんなことを言い出すので、
「さぁ~知るわけがないだろ」
すげなく返す。
「じゃあ、ナイトはどう思う?」
だがアキは、そこであきらめる様子はなく、前を歩くナイトに
向かって、話しかける。
「なんだ?」
ナイトは、オジサンが変な動きをしないか…と、神経を
とがらせていたので、アキの話すことなど、耳には入ってこない。
「何かあったのか?」
険しい顔つきで、振り向く。
アキは全く気にする風もなく、同じことを繰り返す。
「ねぇ、この城って、ずっと前からここにあるの?
持ち主は、だれ?」
さらに声を張り上げる。
どっちみち、答えなど返ってこないだろう…
そう、アキは高をくくっていた。
だが…
「さぁ~この場所ではないが…
もともとは、森の入った所にあった」
思いがけず、アキの知っている答えが返ってきた。