「いいことを、教えてあげる」
ノワールは、大きな口をカパッと開けて、ニヤニヤ笑いを
浮かべる。
「どうせ…ろくでもないことなんだろ!」
ピーターが、大きな声を張り上げると
「おおや!ピーターパンじゃないかぁ」
大げさに、目をひんむいてみせる。
「ちょっと、ふざけないで!早く教えなさいよ!」
リンとした声を、カガリが上げる。
(カガリちゃん…強くなったなぁ)
別人のように、ハッキリと物を言うカガリを見て、
アキは頼もしくなったなぁ~と、感心する。
ノワールはあらたまった顔をすると、ピンとシッポを立てる。
「この城は…みんなの不安や、恐怖を食べて、成長するんだ。
キミたちが、怖がれば怖がるほど…大きくなるんだよ」
そう言うと、
「なっ、いいことを教えてあげただろ?」
ニパッと大きく、口を横に開く。
「えっ」
アキは、カガリと顔を見合わせる。
だがナイトは、ノワールの前に向き直ると、
「それだったら、楽しいことを考えていたら、小さくなるのか?」
サッと剣のサヤを取り払って、ノワールに向かって突き付ける。
「さぁ?それは、どうかなぁ~
なんだったら、試してみたら?」
のらりくらりとかわすと、またピョンと、天井に飛び移る。
「ちょっとぉ~
ホントーに、私たちを招待した人が、待っているのよね?」
アキがイラついた声で、ノワールに向かって怒鳴る。
「さぁ~ボクはただ、君たちの所へ来ただけだから」
ははは…と笑うと、スィッと姿を消した。