そんなこととはつゆ知らず、オジサンは機嫌のいい顔をして、
笑ってこちらを向いている。
「あの人…きっと、操られているのよ。
だって…ここの主とオジサンが、仲良くなるわけがないん
だもの!」
オジサンの方を見ながら、アキはカガリに、自信満々に打ち
明ける。
「あっ、そうか!」
いきなりショータが、大きな声を上げる。
「確かに、アキの言う通りだ。
オジサンが探しているものは…
あの『カボチャ』の中にいたはずだ」
キッパリとそう言う。
オジサンはパッと見は、人の良さそうな笑顔を見せて、
アキたちに向かって、手を振っている。
「おーい、早く来いよぉ」
おそらくオジサンは、何も気が付いてはいないのだろう。
「さっ、早く戻るんだ。
あんまりグズグズしていると、疑われるぞ」
ショータはポンと、アキの背を押す。
「ねぇ、ケイタはいるかなぁ」
コソッと、アキはショータにささやく。
「さぁね」
さり気ない調子で、ショータはアキに返すと、
「まずは、敵の様子を、注意深く観察するんだ」
仲間たちに向かって、ささやく。
「うん」
「わかった」
ユウジとカガリも、緊張の面持ちで、大きくうなづく。
「おい、そこで、何をグズグズしているんだ?
早く行くぞ」
シビレを切らした帽子屋が、アキたちに向かって、大きな声を
上げた。