「えっ」
「まさか!」
アキとカガリは、顔を見合わせる。
「オジサン?」
「ねぇ、オジサンなの?」
二人は、声を合わせて叫ぶ。
「ちょっと、待って!
オジサンは…この屋敷から出たんじゃあないのか?」
二人に割って入るように、ユウジが口をはさむ。
確か、あの吸血鬼のような棺から出た後、自分たちと別れた
はずだ。
「な、そうだよな」
自分の記憶違いか…と、アキとカガリとショータを振り返る。
「うん」
「そうだな」
「そうだったわ」
ようやく思い出して、三人も大きくうなづく。
「だけど…なんでオジサンが、ここにいるの?」
「そうそう、ここにいると、危険だよ」
でも…本当にオジサンなの?
アキがオジサンに近づこうと、足を踏み出そうとする。
「待て」
バッと、ナイトがアキの腕をつかんで、引き留める。
「えっ、なんで?」
だって、私たちの知り合いよ?
「どうして?」
アキは、ナイトの手を振り払おうとする。
「あの人は、魔物なんかじゃあないわ。
私たちと同じなのよ。
魔物に閉じ込められた、被害者なのよ」
アキは、ナイトに訴える。
だが、ナイトはその手を離さない。
離すどころか、さらに指がめり込みそうなくらい、強く握る。
「変だと思わないのか?」
振りほどこうと、やっきになるアキに、険しい顔で話しかける。
「変って、何が?」
アキは思い切り、顔をしかめてみせた。