ぶわぁぁぁぁ~
凄まじい音を上げて、竜がさらに勢いをつけ、その深部へと向かう。
ぬめっとした物体の奥に、何かが盛り上がっているように見える。
じぃっと目をこらして見る。
それは繭のように、丸まったものが、フワフワと浮遊しているように見えた。
「うわわ!なんだ、あれは!」
竜の首根っこにしがみつき、裕太は声を上げる。
『あれは、たぶん…キミの友だちだよ』
もっと、近付いてみよう…
さらにリュウタは、その奥ギリギリにまで近づく。
どうするのか…と思いきや、ためらうことなく竜は、そこに身体を
めり込ませるようにして、奥へと進む。
するとすぐ目の前に、白い物体が赤ちゃんのように丸まっているのが
見て取れた。
「えっ?まさか…ジュンペイ?」
ウソだろ?
手を伸ばせば、届きそうなくらい近くを、漂っている。
「ジュンペイ?」
生きているのか?
考える間もなく、裕太は思わず、ぐぃっと手を伸ばす。
竜はその間、その場にとどまっている。
ジュンペイは、固く目を閉じて、ダンゴムシのように、手足を曲げて
身体を丸めている。
「ねぇ、ジュンペイ?」
さっきよりも、大きな声を出す。
「目を開けろよ。
ボクだよ、ユウタ!
ジュンペイを助けに来たよ」
頼むから、返事をしてくれ。
不安を打ち消そうと、さらに大きな声を出す。
裕太は竜から降りると、そのままジュンペイに近づこうとする。
まるで無重力空間のように、自分の身体がフワッと浮き上がるのを
感じた。