やっぱり、ジュンペイだ!

ジュンペイが、この中にいるんだ!

何の根拠もなく、裕太はそう信じ込む。

「じゃあ…ジュンペイをもとに戻すには…ここから出れば

 いいってこと?」

裕太はキッパリと、そう言い切る。

 とにかく、このままではいけない。

何とかしなくては!

強い決意を抱いて、まっすぐにドローンを見つめる。

 

「うーん、そうだなぁ」

だが、その割りには、ずいぶん頼りない返事だ。

ドローンは、すぃっと浮かび上がると、竜の前でピタリと止まる。

「この竜は…どうやって、ここに来たんだ?」

裕太に向かって尋ねる。

 何を言っているんだ?

見ればわかるだろ、と裕太は思う。

「違うよ。

 ボクは、このリュウタに連れて来てもらったんだよぉ」

 ずっと、見ていたくせに。

裕太は、ケラケラと笑う。

「なら、簡単なことだよ。

 また、この竜に、連れ出してもらえばいいんだよ」

 ジュンペイの声が、いともたやすく、そう言ってのける。

何だかジュンペイ…今頃自慢気に、そっくり返っているんだろうなぁ~

何となく、その様が目に浮かぶようだ。

「ねぇ、出来るの?」

 ためらいつつも、裕太は竜に向かって話しかける。

竜はじぃっとドローンを見つめると、

『ためしてみる』と短く返す。

 ためす?

 ためす…ということは、したことがないのか?

(大丈夫なのだろうか?)

再び裕太は、不安になる。

 

 

 

 

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