「わかったら…とおに、頼んでいるよ。
それがわからないから、困っているんだよ」
途方に暮れたように、裕太はつぶやく。
このドローンが、ジュンペイではないとしたら…
今、しゃべっているのは、誰なんだ?
混乱しながらも、目の前のドローンをじぃっと見つめる。
『だから…ジュンペイの心なんじゃあないか?』
リュウタの声が、裕太の頭に響く。
「えっ?」
だって…機械だろ?
さっぱり、訳が分からない。
「ところでここ…どうなっているの?」
今までとは違い、周りの景色が、まったく見えない。
もっともドローンには、関係ないのかもしれないけれど…
裕太は少し、焦ってくる。
「よくわからないけど…水の中にいるみたいなんだ」
とても信じがたいことを言う。
「えっ?でも…普通に息も出来るし、少しも濡れたりはしていないよ」
ここのどこが、水の中なんだ?
裕太は、何かの間違いなんじゃないか…と思う。
「うん、そうなんだけど…シャボン玉みたいなものに、入り込んで
いる感じなんだ」
あまりに浮世離れした、その例えに、裕太は今一つピンとはこない。
「うーん、何ていうのかなぁ~
水の中に、潜水艦でもぐっている感じなのかなぁ」
さらに、ドローンが続ける。
「へぇ~ここって、水の中なの?」
裕太はポカンとした顔で、この空っぽの空間を見渡した。