「わかっているくせに!」
フン!とアキが眉をしかめる。
「ボクは、何も知らないよ…
ただ、キミたちを、見ているだけだし」
ノワールは相変わらず、のらりくらりと返す。
「もう!わかっているくせに!」
いかにも憎々し気にそう言うと、
「ね、カガリちゃん」
隣に立つカガリに、同意を求める。
ねぇ、と言われても…
カガリは戸惑う。
「それより」
何とか平常心を保とう…と、カガリは口調を変える。
「ねぇ、あの屋敷…向こうにあったものよね?」
やはり、確かめなくては…と、思う。
「あぁ~」
ノワールは、カガリの方を向くと、
「やっぱり、気が付いた?」
大げさなくらい、驚いた顔をしてみせる。
「当たり前でしょ!」
カガリが話す前に、アキが大きな声で返す。
「しらじらしいなぁ」
ブツブツとつぶやく。
「ずいぶん、嫌われたもんだなぁ」
ヤレヤレ~
ノワールは、大きくため息をつく。
「それよりも、キミたち…
例の招待状は、持ってきた?」
急に真面目な顔をして、四人を見上げる。
「招待状?」
一瞬、何のこと?と、アキはキョトンとするけれど…
「ほら、この前、見せてくれたでしょ?」
いち早く、カガリがアキを突っつく。
「あっ、あぁ~あれね」
アキは、ポケットに手を突っ込んだ。