「じゃあ、どうやったら出られるの?」
裕太は、うかがうようにしてドローンを見る。
「それは…自分でよく考えてみたらいい」
少し突き放した言い方をして、ドローンは答えてはくれない。
「何だよぉ~実は知らないんだろ」
ちょっとムッとした口調で、裕太は返す。
「そんなことはない」
するとムキになった言い方で、ドローンは返した。
これが本当に、AIなのか?
まるで、人間がしゃべっているみたいじゃないか。
裕太はひそかに、舌打ちをする。
「まぁ~ボクも試作品だからな。
まだ完全じゃあないんだ」
言い訳のように、ドローンは告げる。
「まぁ、信じる、信じないかは、おまえの勝手だけどな」
そのすねたような言い方…誰かに似てる…
フッと、裕太はそう思う。
「ねぇ、まさか…ジュンペイ?」
思わず、そこにはいない人の名前をつぶやく。
(えっ、まさか)
そんなはずがない…と裕太は思うけれども。
でもこの状況だと、それもあり得るかも…と裕太は思う。
さらに、相手はまったくそれには触れない。
余計に、裕太の中で、それが真実のような気がしてきた。
「えっ、うそ!ホントに、ジュンペイ?」
ねぇ、どうなっているの?
自分で言い出したことに、裕太は一番驚いている。
「ねぇ、ジュンペイ、なんで?
まさか…死んじゃったのか?
ドローンに、呑み込まれたの?」
ますます裕太の妄想が、エスカレートする。
「そんなバカなこと、あるわけがないだろ!」
ついに、ドローンが裕太に向かって、怒鳴りつけた。